緊急事態宣言解除と外国人入国者

テレビなどのニュースは、どうしても東京中心なので、首都圏1都3県に出されていた緊急事態宣言が3月21日をもって解除するということになると、いろいろな制約が一挙に緩和されると誤解されがちです。

それにクギを刺すものとして、「外国人新規入国停止を継続」という報道がありました。

「政府は18日、緊急事態宣言に伴う外国人の新規入国の全面停止措置について、21日の宣言解除後も「当分の間」、継続することを決めた」というものです。「航空便の搭乗者数を抑制し、入国者の総数を管理する」ただし、オリンピック関係の判断は個別に行うということです。東京オリンピックの開催を中止または延期すべきだなどの様々な意見がありますので、ここでは、その問題には触れないことにします。

ともかく、「当分の間」、外国人が大勢、日本にやってくることはないということが確かなようです。

コロナ以前は、地方の景気を向上させる対策として、インバウンド、すなわち、外国人旅行者が押し寄せることに期待をかけていました。

令和2年1月31日に出入国在留管理庁の発表では、令和元年度のデータは次のようになっていました。

・外国人入国者数は約3,119万人で,前年比約109万人増加し,過去最高
・特例上陸許可(船舶観光上陸許可等)を受けた外国人の数は約496万人で,前年比約40万人減少
・外国人入国者数と特例上陸許可を受けた外国人の数を合計した外国人入国者等の総数は約3,615万人で,前年比約68万人増加し,過去最高

説明が付記されているとおり、「特例上陸許可」とは、「船舶や航空機の外国人乗員・乗客に対して、一定の条件を満たす場合に、簡易な手続きによって一時的な上陸を許可する制度」のことで、近年、増加してきた「クルーズ船」などによる外国人が入国し、国内を陸路で移動して観光し、船が待つ別の港から出国するようなことを指します。

「ダイヤモンド・プリンセス号」がその象徴ですが、それも含め、わずか2年前の想定が大きく崩れました。

諸外国でも同様なことが起きています。そこで、EUでも景気浮揚策として、グリーン政策を打ち出しています。頻発する異状気象の原因が地球温暖化にあるとされ、環境対策が待ったなしという世論を背景に、大規模に社会インフラ投資をするのであれば、環境面に配慮した政策をとるというものです。

我が国でも菅総理が昨秋「2050年までにカーボン・ニュートラル」を達成させると宣言したのは、そのような流れのものです。

外国人環境客に過度な期待をかけなくても、自力で、地方まで、行き渡るような景気対策になるのか、成り行きに注目しています。

(ただし、外国人が大量にやってくるものと想定して、行政書士として外国人の在留資格の申請取次の資格を取得したことが、現時点ではアテがはずれてしまいました。数年後には、これも復活するでしょうか)

イラストは、今回も、いらすとやさんからいただきました。