民法の嫡出推定見直しで「無戸籍」が解消に向かうか

2月9日付で「民法の嫡出推定見直し『無戸籍』解消へ中間試案 離婚後300日」という記事が報道されました。法制審議会(法相の諮問機関)で、「無戸離婚した夫婦の子が出生届を出されずに『無戸籍者』になる問題の解消策を議論している」という記事です。

「離婚したばかりの女性が前夫とは別の男性との子を出産した場合も、戸籍上の父は前夫になる。これを望まない女性が出生届を出さず、子が無戸籍者となる例が2000年代以降に社会問題化し、見直しを求める声が上がっていた」という背景です。

根本問題は、民法772条は1項で「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」とし,2項で「婚姻から200日経過後に生まれた子は夫の子」「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」とそれぞれ推定すると定められている件です。明治期から続く嫡出推定規定です。「子の福祉の観点から法律上の父子関係を早期に確定させるのが目的」とされてきました。

妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子

婚姻から200日経過後に生まれた子は夫の子

離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子

これの何が問題かといえば、「離婚したばかりの女性が前夫とは別の男性との子を出産した場合も、戸籍上の父は前夫になる。これを望まない女性が出生届を出さず、子が無戸籍者となる例が2000年代以降に社会問題化し、見直しを求める声が上がっていた」ということです。

中間試案は③の「離婚後300日」規定は残した上で、女性が再婚していれば例外として、離婚からの日数と関係なく「現夫の子と推定する」ということで、③に例外規定を追加する案です。

②の「婚姻から200日」規定は削除するというものです。

また、「前夫と現夫の推定が重複しなくなることから、女性は離婚後100日間は再婚できないとする再婚禁止期間の規定も撤廃する」とされています。

法律上の父子関係を早期に確定させるのが目的」という制度上の運用則のような婚姻規定が、現実のいろいろな社会問題を背景に見直される気運です。まだ、中間の試案ですので、正式に民法が改正されるのは、まだ、先のことかと思いますが、引き続き、ウォッチしていきたいと思います。

(いらすとやさんから親子のイラストをいただきました)