行政のDXについて(2)

もうすぐ税金の確定申告が始まります。数年前から「マイナンバーカード」があると、スマホで申告できるようになっています。税務署に足を運んで行列に並ぶこともなく完結できます。税務署で申告すると「控え」に税務署のスタンプを押してもらう手続きがありますが、スマホから送信する場合、送信したスタンプが押されたものを何度でも印刷することができて、それが、税務署で印鑑を押してもらった書類に相当するものになります。

私も昨年、スマホでやりました。後で、小口の雑収入があり再送信しました。一発でうまくいくと不安が残りますが、もたつくとかえってやり方が身に付くものです。今年は、このコロナ下ですので、税務署に行かずに処理をする人が増えるのではないかと思われます。

この方法のメリットとして、「青色申告」の場合、e-taxで電子申告すると65万円の特別控除が受けられることになっていますが、スマホで送信すると、それを実施したことになりますので、特別控除が受けられるというオマケがつきます。

行政手続きのデジタルトランスフォーメーションの一例ですね。

簡単、便利に加えて、安心安全なことや、なにか「オマケ」をつけて、様々な手続きがデジタルなものに移行していくものと思われます。

新聞記事では、転居した際にこれまで必要だった、「転出届」と「転入届」のうち、マイナンバーカードを使ってオンラインで「転出届」を送ると、「転入届」は不要になる制度が始まります。すぐ、今年の春からかと期待しましたが、住民基本台帳法を今国会で改正されてから、新しい仕組みを全国のすべての自治体に入れる必要があるので、令和4年度中に運用開始を目指すことになっています。

住民票の変更をはじめ一切の行政内の手続きは、転出元の役所から転出後の役所に移されることになり、そこに紙は介在しない仕組みになります。行政組織のなかはかなり効率化されるものと思われます。

1点、このような手続きでも「なりすまし」を防止する観点で、引っ越し後に、一度、転入先の役所に出向き、マイナンバーカードを見せて本人確認をする必要があるとされています。ここが現状の技術の限界かもしれません。

こういう時に、たぶん、日本の風習として、「マイナンバーカードを使わなくても、従来のやり方でもできますよ」というような、「親切な」ルートを残すのではないかと懸念されます。「カードがなければ受け付けない」と割り切るところに行政が踏み切れるかどうかが勝負どころという気がします。

(いらすとやさんからいただきました)