行政のDXについて

デジタルトランスフォーメーションのことを「DX」と記載することがあります。

もともと、「DX」という言葉や概念は、2004年にスウェーデン・Umeå大学のErik Stolterman教授によって提唱されたものだそうで、社会全体への影響を生み出すことを意味しており、似たような定義の「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」とは、本質的に違うものとされています。

ちなみに、「デジタイゼーション」とは、ある工程におけるアナログ情報のデジタル情報への置換を意味し、「デジタライゼーション」とは、自社のみならず外部環境やビジネス戦略など、関係するプロセス全般をデジタル化することを意味するとされています。

印鑑不要などの、今、具体化しつつある行政のデジタルトランスフォーメーション「DX」の流れについて、数回にわけて、今一度、深掘りしていきたいと思います。新型コロナ対策が引き金になり進みつつある流れを逆戻りさせることなく、進めていくためと、「デジタル弱者」を産まないかという心配です。

せっかく進みつつある流れを逆戻りさせるものはいろいろありますが、例えば、「今は新型コロナ対策が重要な時なので、行政手続きの改革などは、落ち着いて平常に戻ってから進めるべきだ」という論法や、「各種の行政手続きの申請書は日本固有の印鑑の文化で維持されてきた。印鑑廃止になっても大きくそれを変更すべきではない」、「印鑑が押されていない文書よりも、押印された文書の方が信頼がおける」などの様々な現れ方があります。困ったことに行政の側ではなく、申請するほうに現状に留まることを「是」とする「とまどい」があるようにも思えます。

ですので、海外のいろいろな進展などにも留意しながら、もしかしたら、ガラパゴス化してしまっている日本の行政手続きを大きく変革したあとは、どういう方向に向かうのか、眺めてみたいと思います。

デジタル庁の発足に合わせて、「プロジェクトマネージャー」などの職種を民間から採用する選考が始まっています。兼業やテレワークを認める非常勤の国家公務員として、総勢約30人の採用を予定しているそうです。したがって、これまでのゆっくりした行政改革とは一味も二味も違うスピード感を持った改革があとに続くものと思われますので、進むべき政策の行きつく先について、ある程度の認識を持っておきたいと思います。この項目は数回にわけて検討していく予定です。

(しばらく、スタジオジブリからイラストをいただいてきましたが、強引に関係付けたものも尽きてきましたので、適宜、「いらすとや」さんからいただくことにしました)