小規模事業者持続化補助金とは
本日、12月10日必着で、日本商工会議所の「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」の第5次募集の受付が締め切られます。本年度の最終回です。
コロナ枠ではありませんが、昨年、私自身の事務所の立ち上げに際し、この補助金を申請し採択されたこともあり、今回、「第4次」(10月2日締め切り)と本日締切の「第5次」の申請を10件ほどお手伝いをしました。
申請自体は終了しましたので、申請内容について解説するのは別の機会に回すとして、手続き、手順について少し書きたいと思います。
まず、とにかく、申請が受付られてから採択が決定するまでの期間が長すぎる印象です。第4次を例にとりますと、10月2日に申請締切のところ、採択の可否が決定されるのは、2021年2月上旬になると、先日、12月1日に発表がありました。正味4か月も審査に要することになっています。もっとも、第3次の採択結果の公表によると、申請件数37,302件に対して、採択事業者12,664件。採択率は33%でした。たいへん厳しい採択率です。
審査は外部の機関に委託したとのことですが、37,302件を1件1件、審査するのは、相当な労力を要したことと推測します。そのうち、2/3は要件を満たしていなかったということですので、「はじく」ことの労力のほうがたいへんだったのではないかと思います。
お金のことになると、詐欺まがいの虚偽の申告をする人が出てきて、それを除外しなければ正直者が報われないというのはわかります。しかし、3万件の申請のなかに2万件も、そのような違法なものが混じっていたとは考えにくい。
制度の目標は立派で、「新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために、具体的な対策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備)に取り組む小規模事業者等が経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3または3/4を補助します。補助上限額:100万円。」という趣旨です。
「小規模事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。審査があり不採択になる場合があります(給付金ではありません)。外部のアドバイスを受けること自体は問題有りませんが、事業者自らが検討しているような記載が見られない場合、本補助金の趣旨に添わない提案と捉えられ、評価に関わらず採択の対象とならないことがあるのでご注意ください。」
3万件の申請のなかに2万件もの不採択の申請があるというのは、この点ではないかと想像します。つまり、単に機器やオンラインのシステムを購入するという内容ではだめで、個別のそれぞれの事業をどのように発展させたいかという経営者の意思やストリーが示されていなければならない、それの有無を確かめているものと思われます。行間からそれを読み解く努力というよりも、そのような「業者任せ」の申請が多数まぎれこんでいるのではないかと推察します。
採択されたらすぐに補助金が支給されるかといえば、そうではなく、定められた期日までに「実績報告書」を提出し、その内容を精査したのちに金額が決定します。これだけの件数ですので、実績報告書の精査にも数か月を要するのではないかと予想します。
コロナ影響で募集も「第5次」まで拡張し、採択件数を増やしてくれていることは事業者にとってありがたいことだと思います。ただし、このたくさんの申請書類を作文させて、内容を採点し、実績に関しても膨大な報告書を精査してから、お上が支給金を決めるという方法論は、デジタル化の世の趨勢のなかで、抜本的に見直す必要があるような気がしてなりません。申請書類をスキャンしてメールで送ることが「デジタル化」ではないように思います。
こうは書いてきたものの、今回の申請のお手伝いをした案件が採択されることを願っているものです。
(スタジオジブリの公開されている画像のうち「魔女の宅急便」からいただきました。本文とは関係ありません)