「デジタル化」の入力のすみずみのこと
新しい政府の下で「デジタル庁」が新設されることが目玉商品のようになっています。これまでも、何度も、「行政手続きのデジタル化」を政策目標にして取り組んできました。
その代表が「マイナンバーカード」ですが、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法」が国会で成立したのが、2013年5月です。私だけかもしれませんが、2000年以降の出来事は、比較的、新しいことのように感じますが、すでに、7年前のことです。
「はんこ文化」が足を引っ張っている、「個人情報保護法がネックになっている」、「国と都道府県の関係が円滑になっていない」など、様々な要因があり、それぞれ分析もされています。結果として、我が国の「デジタル化」の度合いは先進諸国のなかでは、かなり下のほうとなっていますので、今度こそ、大きな進展を期待したいと思います。
さて、その一環で、「建設キャリアアップシステム」の登録を窓口提出や郵送ではなく、インターネットを通じて行っています。そのなかで、ひとつ感じたことを今日は書きます。たいへん、枝葉末節な部類かもしれません。
この制度は、建設業で働く技能者全員にカードを発行するものです。毎日、建設現場に入るつどカードをタッチすることで、経験の蓄積が自動的に行われ、将来の「キャリアアップ」、すなわち、昇進昇給につながるという構想のものです。
そのため、カードには「顔写真」が入っています。それを登録する際の注意書きがあります。
①6ヶ月以内に撮影したものであること
②画像のサイズは294×378ピクセルであること
この箇所です。
このマニュアルを読んで、②はどうやって確認するのだろうかとたいへん悩みました。
解もなく、当たって砕けろで、「3分間写真」で撮影されたものを自宅のスキャナーでスキャンして、入力作業にとりかかってみたところ、からくりがわかりました。
登録システムのなかで、テンプレートが用意されていて、写真データが拡大縮小、トリミングができるようになっています。
結果として「294×378ピクセル」のものが切り取られ、カード用のものが登録される仕組みになっています。こういう箇所は、たくさんあります。
一言でいえば、デジタル入力のための「マニュアル」は、説明が多すぎるように日頃感じています。言葉で書けば書くほど不正確になり、また、細かい字の説明は、読みたいという気持ちを萎えさせるものです。
例えば、スマートフォンを例にとると、あの「難しい端末装置」の操作マニュアルを用意しようとするとたいへんなことになります。しかし、中学生でも問題なく使いこなしています。
行政手続きのデジタル化に関して、ひとつ言わせていただきたいのは、そういう点です。「このシステムはこういう側面で正しいことを行っていますよ」という類の、自己正当化の解説は一切いらないと感じています。どのボタンを押せば次に進めるのかがわかればよろしいのです。
これは紙に書いたマニュアルだけではなく、システムのなかも同様です。マイナンバーに関連して、「マイナポータル」という操作を行ったことがある方は感じたかもしれませんが、サクサクと進めばいいもの、やたらと「説明」があります。
このあたりは大きな「行政手続きのデジタル化」から見れば枝葉末節のことかもしれませんが、様々なスキルに差異のある多くの国民が自分でさわる入力方法という観点から、日本の官庁は、そういうことに慣れていないはずなので、これも、大胆に民間に丸投げしてはどうかと感じています。
(せっかくなので、自由にお使いくださいと開示されている、ジブリの絵を使わせてもらいます。本文とは関係ありません)