著作権の関係で「戦後」を思う
大事な点をひとつ。
平成30年の法改正で著作権の保護期間が一言で表せば、50年から70年に伸びました。そのことと、「戦時加算」との関係について触れておきます。
「戦時」というのは、第二次世界大戦のことです。その戦争期間中に、日本は、敵国の著作権を保護しなかったという理由で、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効の際にクギをさされています。
たくさんの国といろいろな関係がありますので、アメリカを例にとりますと、1941年12月8日の真珠湾攻撃からサンフランシスコ講和条約まで、3794日といいますから、10年以上に及びます。相手国との間の著作権保護期間に、この約10年分を上乗せして延長することが講和条約の条件になっています。えらいことです。
今回の協議でも、このことが交渉事になったようです。はっきりと、見逃してくれるということにはなっていないようです。
ただし、さかのぼること、2007年に、民間の国際組織著作権協会国際連合 (CISAC) という場で、JASRACの理事であった、あの都倉俊一さんが戦時加算の解消を要請する演説を行ったそうです。都倉俊一さんといえば、「ひと夏の経験」などたくさんの山口百恵さんほかの曲を作曲した方です。JASRACもいいことをやっていることを初めて知りました。
当時は、まだ保護期間が50年でしたので、日本としては、戦時加算の約10年の2倍の20年を上乗せして70年に法改正するので、これ以上、戦時加算を要求しないでほしい、という議論だったようです。
平成30年に著作権保護期間は、予定どおり「70年」に改訂されましたが、各国は、「それならば戦時加算は要求しない」と明言するところまでは至っていないようです。
(山口百恵さんのレコードジャケットを載せたいところですが、著作権の問題がありそうなので、秋桜の花で代用です。 写真はonepさんによる「写真AC」からいただきました)