著作物の保護期間;外国との関係を再認識します

さて、本来は資格をいただく際に勉強することなのかと思いますが、「著作権相談員」となってから、いろいろと著作権について調べています。現在は、経済もグローバルですので、特に、外国との関係が重要になっています。

著作権の保護期間についての法改正が平成30年に行われています。一言でいえば、それまで「50年」だったものが「70年」と、保護期間の延長が図られています。

その背景となったのが、「環太平洋パートナーシップ協定の締結」つまり、TPPです。米国は協議の途中でトランプ大統領になった関係でおりましたが、この協定はオーストラリアやニュージーランドなどとの間で有効に成立しています。

TPPと聞けば、牛肉やお米、あるいはチーズやワインの関税のことが話題に上りますが、しっかり、知的財産の分野でも、各国間で保護内容の差異があった問題が協議されています。「著作権の保護期間」もその一環でした。

今回、保護期間が50年だったものが70年にのびます。そこで、ある作品は作者の死後50年が経過して切れてしまったのに、「70年」という新しいルールを適用すると、まだ、そこまでは経っていない、というようなケースも出てきます。ご安心ください。いったん切れたものは、そのままです。現に保護されているもの、あるいは、これから保護される対象に関して「70年ルール」が適用されます。

70年というのは、たいへん長い印象です。ガイドに事例がついてましたので、ご紹介しますと、「例えば,手塚治虫さんの著作物は,手塚さんが平成元(1989)年に亡くなられましたから,平成2(1990)年1月1日から起算して,70 年後の, 2059 年 12 月 31 日まで保護されることとなります」ということです。

保護期間に関して、一つ付け加えます。「レコード」の保護期間です。
旧法では、レコードに関して「演奏者=著作者の死後30年」でした。新法はそこが変わり、レコードなどは「演奏されたときから70年」となっています。

そうすると、演奏者が若いころに録音されたレコードなどのケースでは、「死後30年」よりも、「演奏のときから70年」のほうが早く切れることもありえます。そういう場合は、旧法の「死後30年」、つまり、期間が長いほうが適用されることになっています。聴く側にとっては残念なお知らせかもしれません。

以下の図は、文化庁著作権課が平成30年12月に作成した「著作物等の保護期間の延長に関する Q&A」からいただきました。