CCUSの登録が盛んになってきたようです

建設キャリアアップシステムの登録をサポートする業務を行っています。その背景と最近の状況について、少し触れたいと思います。

1960~1970年代の高度経済成長の時期に高速道路をはじめ、多くの社会インフラが建設されてから50年が経過して老朽化が進み更新工事の需要があります。加えて、地震や台風などの災害時に道路や鉄道の復旧工事や倒壊した建物の解体撤去の仕事が絶えることがありません。日本はたいへん災害が多い国になってきたような気がします。そのような役割を担う建設業なので、業界全体が維持発展することが望まれます。

ところが、建設業で働く技能労働者の数は、最近では平成9年がピークで455万人だったものが、平成28年のデータでは325万人で、ピーク時から3割程度減少しています。
少子高齢化の影響で全産業の就労者数が減ってきていることに加えて、若手が少なく高齢化が極端に進行している業界という特徴が就労者数の減少を加速しています。また、働き手を補充しなければならず、この業界にも、大勢の外国人技能実習生が働いています。

これではいかん!、若い人にとって魅力ある職場にしなければならない、また、外国人就労者も使い捨てではなく、一緒に働く日本人技能者と同様、経験を積むことに応じて処遇が改善されていくような仕組みを作る必要がある。

ーーそのような背景から生まれたのが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」です。約300万人の技能労働者すべてを対象に、このシステムに登録して、毎日、どの現場でどういう作業に就いたのか記録が蓄積され、それが確実に処遇改善に結びつくようにする、あるいは、厳しい納期確保などのために長時間労働などが起こらないように全体を管理するツールとしても活用する、一言でいえば、そういう趣旨の制度です。

制度が整い、昨年から登録が始まりました。8月末時点で登録者は34万人、ちなみに、昨年度末、3月31日の時点では22万人でしたので、着実に増え続けています。しかし、ようやく、全体の十分の1に到達したレベルなので、これから本格的になってくるものとみています。

それを思わせるように、ここ1、2週間、急に登録に関する問い合わせがくるようになりました。いろいろ伺いますと、

①元請の会社からカードを持たない技能労働者は使えなくなる日がくるので早めに登録するように言われた

②外国人技能実習生は登録することが義務化されたので、登録していないとモグリになってしまう

③近々、登録料が値上げになるというウワサなので、早めに済ませたい

ということが背景にあるようです。

大手ゼネコン社はこぞって登録を済ませた段階で、徐々に、数の上でも圧倒的に多い、数人から10人程度の小規模事業者に制度の趣旨が浸透し、登録しなければという機運になってきたようです。

現在、新型コロナの影響もあり、紙での申請は停滞していますので、インターネットで登録申請をする必要があります。いったん登録したあとで、資格が増えたとき、あるいは、労働者の採用や退職などの出入りがあった場合の更新、追加の手続きもありますので、事業者の方にはパソコンで登録する方法まで伝授するようにしています。

政府が目標としている5年間で全員をカバーするような仕組みができ、明るい魅力ある業界になります、普及に協力しているところです。

(写真は、胡麻油さんによる「写真AC」からいただきました)