二重国籍問題①

一つ気になっている問題がありました。

外国人労働者のことに関連して、どなたかが、いっそのことベトナムなどの出身国と日本の二重国籍を取得できるようにすれば、日本人として、より早く日本社会になじんでもらえるのではないか、という趣旨のことを話されてました。

この良しあしについて少し考えてみたいと思います。

そもそも、現状の法律の下で、二重国籍になる状況には、4つのケースがあるとされています。

◆1.日本人が意図的に外国籍を取得したケース
◆2.日本人が国際結婚などで自動的に相手の国の国籍を得た場合
◆3.外国人が日本国籍に帰化したとき
◆4.国際結婚の子供など、未成年のうちに複数の国籍を持つケース

外国人労働者の件は、3番のケースで、日本に帰化して、なお、出身国の国籍を放棄しないことを意味しています。

まず、日本に帰化したいかどうかは本人の意思を尊重しなければならないこと、さらに、帰化するにはたいへん高いハードルがあるということを知っておく必要があります。なにしろ、国政の選挙権も持つことになるわけですから。簡単にそれができるならば、大挙して外国から日本に移住して「日本人」として投票されると、やっかいな問題になります。

ついでながら、現状、帰化申請までには7つの条件をクリアする必要があります。

1.住所条件(国籍法第5条第1項第1号)引き続き5年以上日本に住所を有すること

2.能力条件(国籍法第5条第1項第2号)年齢が20歳以上であり本国法によって行為能力を有している

3.素行条件(国籍法第5条第1項第3号)素行が善良であるか。きちんと税金を納めているか、交通違反をしていないかなど

4.生計条件(国籍法第5条第1項第4号)自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること

5.喪失条件(重国籍防止条件/国籍法第5条第1項5号)国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

6.思想要件(国籍法第5条第1項第6号)日本の政府を暴力で破壊することを企てたり,主張するような者はダメです

7.日本語能力要件;日本人として生活していくために、最低限の日本語力(読み、書き、話す)を要求されます。目安としては、小学校3年生以上のレベル

このうち、元のお題は、多重国籍を禁止している5項を緩和せよ、ということを指していますが、問題は、そう簡単ではないようです。

比較的最近には、テニスの大坂なおみ選手の問題がありました。(もっと以前にんは、当時の民主党の蓮舫議員の件でニュースが盛り上がりました)

それらを含め、この件は続きます。

(法務省のリーフレットから)