台風災害への対処;自治体任せではなく自ら最終判断すべきこと

台風のシーズンになり、9月の台風15号に続いて、昨日も、台風19号が日本列島を直撃しました。まだ、完全に影響が去ったわけではなく、避難生活を強いられている方も多いと思います。

刻々と変化する情報を流し続ける気象庁をはじめ、河川や道路の状況を把握し危険個所を知らせる国土交通省、さらには、避難勧告を発信する市町村などの自治体は、たいへんなことと思います。

今回は、首都圏を直撃する台風ということが早い段階で報道されていたため、昨日は、スーパーやコンビニなども終日、休業するなど、パニックに陥らない日本人の国民性が現れていたものと思います。

一つ気になったことは、ニュースで流される「警戒レベル」の表現についてです。 テレビなどのニュースで何度も報道されていましたので、多くの方が覚えておられることと思いますが、「警戒レベル」は5まであって、それによって、避難すべきかどうかを判断するものです。

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

警戒レベル3は、 「地元の自治体が避難準備・高齢者等避難開始を発令する目安となる情報です。高齢者等の避難が必要とされる警戒レベル3に相当します。災害が想定されている区域等では、自治体からの避難準備・高齢者等避難開始の発令に留意するとともに、危険度分布や河川の水位情報等を用いて高齢者等の方は自ら避難の判断をしてください。」

警戒レベル4は、 「地元の自治体が避難勧告を発令する目安となる情報です。避難が必要とされる警戒レベル4に相当します。災害が想定されている区域等では、自治体からの避難勧告の発令に留意するとともに、避難勧告が発令されていなくても危険度分布や河川の水位情報等を用いて自ら避難の判断をしてください。」

警戒レベル5が最高のレベルで、 「災害がすでに発生していることを示す警戒レベル5に相当します。何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況となっています。命を守るための最善の行動をとってください。」

となっています。

情報発信する気象庁と自治体との連携が重要なポイントになります。 内閣府の「避難勧告等に関するガイドライン」は平成31年3月に改定され、「住民は『自らの命は自らが守る』意識を持ち、自らの判断で避難行動をとるとの方針が示され、この方針に沿って自治体や気象庁等から発表される防災情報を用いて住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルを明記して防災情報が提供されることとなりました。」とのことで、この重要なポイントをよく理解しておく必要があるように思います。 単に、命令されたから行動する、ということではなく、ミソは「自らの判断で避難行動をとる」とされています。 ですので、警戒レベル4で「避難勧告が発令されていなくても危険度分布や河川の水位情報等を用いて自ら避難の判断をしてください」となっていながら、警戒レベル5では「命を守るための最善の行動をとってください。」とだけ指示され、最高レベルながら、ここには、「避難しなさい」などの言葉はありません。 つまり、自治体が100%責任をもって、命を預かるのではなく、情報を提供するから、どうすべきか、命をどう守るか最善の方法は自ら判断しなさい、とされています。

ここが重要だと思います。「言われたとおりにしなさい、命は自治体が守ります」ではない点です。とくに災害がピークに達した場合、避難するために外に出ること自体が危険な場合もあります。自ら判断して「命を守るための最善の行動をとってください」ということを気象庁は伝えてくれます。

東日本大震災をはじめ数々の災害を経て、また、地球温暖化の影響なのか、エスカレートする自然災害への対処方法を十分検討したうえで制定された、この内閣府の「避難勧告等に関するガイドライン」をよく理解しておく必要があるように思います。国や自治体が「丸抱え」ではないのです。