災害時の避難について考える

先日、除染の進捗を自分の目で確かめるために、福島県に行ってきました。 その詳細は、改めて触れるとして、今回は台風の洪水時にも通じる、災害時の避難について書こうと思います。

実は、一連の見学の最後に、浪江町立請戸小学校に立ち寄りました。 何度か語られているので、ご存知の方も多いと思いますが、この小学校は海からわずか300mのところにあり、東日本大震災の際には、15mの津波が襲いました。 この時、少し離れたところにある高台の「請戸城址」に先生と小学生全員が無事に避難し、津波による犠牲者が出なかったことで知られています。 とくに、逃げる途中、そこに至る通常ルートには津波が迫り、行く手を阻まれ一行が途方に暮れる中、その城跡でよく遊びまわっていた生徒が「僕が案内する」と言って、通常にはない山道を案内し、間一髪のところで全員が城跡に登ることができ事なきを得たとのことです。学校の背後に写っている小高い林が避難した丘であり、この程度のところに避難するだけで間一髪、津波から逃れることができたのです。

せっかく津波からは無事だったものの、残念ながら、福島第一原発から6kmの浪江町内にある学校のため、全員、避難生活を送っています。

さて、話は先週の台風に戻ります。 気象庁や自治体が避難勧告や避難指示を出したのにかかわらず、いろいろ考えて避難しなかった方は大勢おられることと思います。 避難指示が出てから、その後、堤防が決壊し、道路にも車が押し戻されるような勢いで水が押し寄せるまで、2時間程度の時間があったとします。 そのような、目の前にまだ水がない状況で、危険を判断して避難できるかどうか。 今回の台風は、たくさん、そのような課題をなげかけたものと思います。 請戸小学校の生徒のように、平常時に、親しみをもって避難場所を一度は中に入って確認しておく、というようなことを「町内避難訓練」などの機会に行うこと。何度も足を運んでおくことが必要かと思います。いざとなったら、命を託す場所になるので。