建設業許可申請;経営者の条件が緩和されるとは
少し前の新聞になりますが、「欠格条項削除法が成立 成年後見、参院本会議」という記事がありました。(令和元年6月7日の記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45820490X00C19A6000000/
「成年後見制度は判断能力が不十分な人を支援するため、後見人らが財産管理や福祉サービスの手続きをする。だが欠格条項により利用者が公務員、弁護士や社会福祉法人の役員といった資格を失ったり、建設業や貸金業の営業許可を取得できなかったりする」
これまでは、建設業の許可申請の際に、経営陣に「成年被後見人」、「被保佐人」、「破産者」がいないことという条件があり、これらに該当しないことを、ひとりずつ証明しなければなりませんでした。 新聞報道は「認知症などで成年後見制度を利用した人が、公務員や法人役員といった資格や地位を失う各種法律の「欠格条項」を原則として削除する一括法が参院本会議で全会一致で可決、成立した」というものです。 この趣旨は「欠格条項が成年後見制度の利用をためらわせる一因になっているとの指摘」があってということです。
この件で、9月になってから、国土交通省からの発表がありました。
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う国土交通省関係政令の整理等に関する政令」が閣議決定されました (令和元年9月3日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001305261.pdf
施行は、令和元年9月14日付けということなので、すでにこの政令は施行されています。
新聞報道によれば、「成年後見制度の利用者が公務員などの資格保有にふさわしい能力があるかどうかは面接や試験で個別に判断する」とされています。
差別や偏見を無くするという観点から、建設業の許可の際にも、経営者が成年被後見人に該当しないか、法務局発行の「登記されていないことの証明書」の提出が不要になるものと思われますが、では、本来の目的であった、経営者が認知症などになっておらず適切な判断を下せるということ自体の証明が全く不要になるのか、あるいは、ほかの証明手段が必要になるのか、県などの具体的な建設業許可申請の要件に注目していきたいと思います。