「ミスiD2020」ではなく、ID2020が日本の戸籍制度を超えるか
ブロックチェーンというものがあります。仮想通貨ビットコインで有名になりました。コインを持っている人の名簿を従来ならば銀行の本店に一元管理しているところですが、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースだそうで。何がいいかというと、中央集権的な一元管理のデータベースはドボンするとデータが全滅になってしまうのに対して、これは、悪意のデータ改ざんができない仕組みになっていること、管理上も誰がいつ送金したか等のデータを分散して持っているためにデータが失われる危険がない。(これ以上の解説は無理)
ともかく、個人のデータベースを管理する新たな手法として普通の金融機関も採用を検討している、あるいは、電力自由化に伴い顧客管理のツールとして東京電力なども実証実験をしているという技術です。
ふと、思ったのは、これを使えば、戸籍の管理なども情報漏洩の心配もなく強固なデータベースが作れるのではないかということです。これは私の大発明になるのではないか!!と興奮して寝られませんでした。
人がマネをしないうちにと、ネットをあたってみたところ、 残念! こんな記事に遭遇しました。
https://gaiax-blockchain.com/id2020
「ID2020」なんだそれは?
読み進むと、世界には、そもそも政府が貧弱で国民にIDを発行できないケースや難民などの理由でIDを失った方など、現在、11億人もの人が、国が発行したIDを持っていない。医療、教育といった基本的なサービスを受けるのにも支障をきたすことが多く、それをブロックチェーンの技術を使って、すべての人にIDを発行する取り組みとのこと。「ID2020」と呼ばれています。
たとえば、アフリカのマラウィとタンザニアで出生登録がされた人の割合はそれぞれ人口の2.3%、16.3%です。これでは、ワクチンを接種しようにも受けられないなどの問題が生じます。
アクセンチュアやマイクロソフトといった会社がすでに、ブロックチェーン技術によって、IDのない人にIDを振り当てる取り組みを始めている。
残念。私の発明と思ったのに先を越されてしまいました。
「これまでにアジア、アフリカ、カリブ海周辺の29ヵ国130万人の難民の登録に利用されてきました」というから、世の中進んでいます。
また、インドネシアやタイでは、戸籍の管理にブロックチェーンを活用する取り組みを始めたとも記事は伝えています。
一転、背筋が寒くなるのは、ここです。 日本は豊臣秀吉の時代から(あるいはもっと以前から)、戸籍制度で全国民を管理する仕組みを作り上げ、今日に至っていることを誇りとしています。これは例えていえば、各家庭にあった黒電話=「固定電話」のようなものではないか。電話線を張り巡らす、インフラ投資ができない国は遅れていると思っていたら、発展途上国は、その段階をスキップして、一気に無線で通話やインターネットができる「携帯電話」の世界になってしまったこと。GDPの低いアフリカ諸国でも人々はスマホを持っている・・ 一方で「難民」やアフリカ諸国、インドネシアやタイといった国々から始まっていますが、ともかく、もれなく個人を登録できる技術として各段のメリットがある究極のITツールですから、気が付けば、世の中は「ブロックチェーン戸籍」が主流になってしまい、「市役所に紙で出生届を提出する」ような旧式の日本のようなシステムはガラパゴスのようになってしまうのではないかと気になってしまいました。「マイナンバーカード」がどうのこうの、と言っている次元ではないのではないか、など。
ちなみに、ネットで「ID2020」を調べると、真っ先に、「ミスiD2020」というのが出てきます。
ルックスやジャンルに捉われず、新しい時代をサバイブしていく多様な女の子のロールモデルを発掘するオーディション「ミスiD」。 今年8年目のミスiD2020のキャッチコピーは、「世界はひとつじゃない。ルールも常識も女の子も」「人の人生を笑うな。」。 エントリーした約3500名から、書類選考→カメラテストを経て、セミファイナルに残った158人の女の子たち・・・
日本はほんとうに平和です。