入管と不服審査の関係;実際の数値で見てみましょう

入管の手続きに関する不服申し立ての手続きがいろいろ用意されていること、すなわち、違反審査に対して,口頭審理,異議の申出とい う不服申立制度というものがあって、「退去強制手続」にかけられた外国人は、一連の手続きが利用できることを解説してきました。

実際に、制度がうまく機能しているのかを数値でみてみます。

平成27年の数値は以下のようになっております。

①違反審査13233件のうち⇒認められたのは5件 すなわち、99.96%はアウト

⇒その次のステップ、

② 口頭審理には、3871件がまわりました。最初の違反審査を母数にすると、約3割(29%)が次のステップに進んだことになります。⇒しかしここで救われたのは1件

⇒その次のステップ

③異議の申出には、3526件がまわりました。②のステップで1件しか救われなかったのですが、約9割(91%)が次のステップに進んだことになります。⇒ここで救われたのは0件です。

ところが、「異議申出に理由がない」という回答があったもののうち、

④3110件すなわち、上記の3526件の88%もの事例が「あきらめず」、法務大臣に申し出て、なんと!⇒2023件が「在留特別許可」を得ています。約6割が最後に救われて、在留特別許可を得ています。

前段の、5人⇒1人⇒0人 という極めて厳しい判断はなんだったのか、法務大臣は、それほど寛容なのか。そうであれば、もっと前の段階から、「法務大臣の在留特別許可」に相当する判断基準を適用し、3段階もの、ほとんどゼロ査定のような手続きを省略できないものかと考えてしまいます。

ともかく、現状は、各段階をきちんと踏んだあとでなければ、「最後の手段」である「法務大臣」の「在留特別許可」を得ることができないので、最後の裁決に望みをつないで許可が得られるよう、行政書士としては、あきらめず、サポートしていくことが、その役割であると言えます。