デジタルのすすめ

新型コロナのワクチン接種を実施中の市区町村のご担当の方は、たいへんご苦労なことだと思います。高齢者から順番にというところが一番の難関だ思います。対象の例えば、75歳以上の方のなかにはパソコンのスキルもたいへん素晴らしい方も少数ながらいらっしゃるかもしれませんが、たいていの方はこれまでの生活のなかで最近のデジタルなツールに触れて来なかった方々です。

一方で、多くの方はたいへんお元気で時間もたっぷりあります。ですので、テレビのニュースでとりあげられていたように、大坂の茨城市では、ワクチン接種の日時の予約を窓口で行うための「整理券」を求めて、前日の21時から徹夜で並ぶ人が大勢おられて、実際に窓口予約をする時間帯には整理券を配り終えるくらいになってしまい、混乱が生じて警察を出動させる事態になってしまい、結局、窓口予約を中止したとのことです。

これまでの日本のお役所の親切なところです。

「予約はパソコンあるいはスマホから行っていただくのが基本ですが、窓口でも受け付けます」というような、たぶん、高齢者に対する配慮だと思いますが、複数の申込み方法を提示するというやり方です。

マスコミもよろしくないのですが、いかに、予約が殺到してつながりにくいか、というようなシーンを取り上げて報道します。

今後、デジタルな社会にしていこうというスタートの年にあたり、ちょうど、格好の機会だと私は思うのですが。「新型コロナのワクチン接種はパソコンあるいはスマホからのみとします」という自治体が現われないものかと。

この先、インターネットへ接続を恐れていると生きていけないことをたとえ高齢者に対しても教えていくべきではないかと思います。「電話や窓口でも可能です」というような余計な親切は、せっかくのチャンスをつぶすようなものです。

その上で、自治体が格安スマホを高齢者に無償配布すれば、ずいぶん、これからの手続きはスッキリするように思うのですが。

「一人のデジタル難民も出さない」という方針はそういうことで、すべての人、高齢者ももちろん含みます、デジタルな文化に慣れ親しんでもらう、ということでなければ始まらないのではないかという気がしてなりません。

9月にデジタル庁が発足するための法案が国会で成立したとのことです。昨年、国民全員に一律に10万円の「定額給付金」を支給するというイベントが失敗したことをよく反省しているのか、成り行きを見守りたいと思います。

(これから始まることに期待するのは、これから色づいていくアジサイを眺めているような感じかと。だんだん変化していく様子を楽しみにしたいと思います)