新年度から電子化のこと

新年度になりました。例年よりも切れ目を感じないのは、新型コロナの影響が続いていて、晴れ晴れとしないからでしょうか。

電子化の手続きもそんな感じを受けます。「マイナンバーカードは、2021年3月から保険証として利用できるようになります!」とあちこちの病院や薬局のポスターで見かけました。実際に始まっているようです。しかし、テレビのニュースでは、その前向きなことを報道するのではなく、何万人かのデータの入力ミスがあり、本格的な活用は数か月遅れるという後ろ向きな報道が多く、せっかくの機会に水を差しているように感じます。

少し事案が違いますが、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金 2次公募」というようなケースで、従来は、紙の申請書を郵送で送っていたものが、今回の「2次募集」から、「Jグランツによる募集となります。申請にあたってはgBizIDの取得が必要となります」ということになっています。

「Jグランツ」とは、補助金の申請・届出ができる電子申請システムのことで、「gBizIDの取得には印鑑証明書の取得が必要であり、アカウントの取得に2〜3週間かかる場合があります。応募を検討している事業様はお早めにID申請を行うことをお勧めします。」とご丁寧に書かれています。

このケースは多目的な補助金であり、コロナ影響下で海外からの「マスク」のようなものや重要なパーツが入手できないことが生活や産業に大きな影響を与えたことを解消することを狙いとして国内に生産拠点を移すための補助金と、全く別の視点で、一時的な需要増によって需給がひっ迫するおそれのある製品・部素材のうち、国民が健康な生活を営む上で重要なものの生産拠点等整備、ワクチンの注射針製造のようなものが対象です、そのような緊急の必要性なのですが。

電子申請が普及すれば、各種の役所への手続きが円滑になる、今は、ちょうど移行期なので、致し方ない側面はあるものの、そのための申請用の「ID取得」には、印鑑証明を「紙」で提出する必要があり、受け取った官庁側の職員は一つ一つ届いた郵便物を手入力しているものと思いますが、けっこうな労力をかけてチェックをしなければならず、そのため、「アカウントの取得に2〜3週間かかる」ということになっています。

法人はさておき、個人の場合、このようなケースでマイナンバーカードが使えないものなのか、と気になりました。

平等にサービスをいきわたらせる観点なのかと思いますが、一方でマイナンバーカードの普及率が低迷していることが背景にあり、せっかくの電子化の仕組みができたとしても、「マイナンバーカードで便利に申請ができますが、従来どおりの紙による申請も受け付けます」というようなことが当たり前のように行われます。

それがネックだと考えます。一度でも「マイナンバーカードでなければ申請できません」というような狭き門をこしらえることによって、カードの普及が進むのではないかと思ったのですが、今度は市役所のマイナンバーカード発行窓口が大混乱になってしまう、ということになりますか。

なりすましを防止するIDの普及というのが当面の電子化の大きな課題のように思います。

写真は、近所の公園です。惜しいことに桜の花びらが毎日いきおいよく散りはじめています。