4月1日から変わること

早いもので、今週は、新年度開始の4月1日がやってきます。例年、法改正などについて4月1日から施行されるものがいくつかあり、新年度の切り替わりに気をつけなければならない点です。

昨年、2020年4月1日には、民法のうち「債権法」の大きな改正がありました。昨年のブログから少し振り返ってみます。

法務省から出されている「債権法改正」に関するパンフレットに次の記載があります。

「民法のうち債権関係の規定は、1896年に制定されて以降、約120年にもわたって、実質的な改正が行われていませんでした。そのため、社会・経済の変化に対応できていない内容であることが指摘されるに至りました。すなわち、制定以来、多数の判例法理が蓄積され、民法の条文からは解釈することが困難であるルールが実務で定着し、一般の国民には分かりにくいものとなってしまったのです。 そこで、一般の国民にも分かりやすい内容とするために、民法が改正されるに至りました。」

したがって、改正になった内容は、「約120年間の社会経済の変化への対応」と「民法のルールをより分かりやすいものとする」観点のものから成っています。

◆約120年間の社会経済の変化への対応

1 保証人の保護に関する改正
2 定型約款を用いた取引に関する改正
3 法定利率に関する改正
4 消滅時効に関する改正

◆民法のルールをより分かりやすいものとする
裁判や取引の実務で通用している基本的なルールであるものの,民法
の条文には明記されていなかったものを明文化する改正を多数行ってい
ます。
1 意思能力に関するルール
交通事故や認知症などにより意思能力(判断能力)を有しない状態に
なった方がした法律行為(契約など)は無効であることを条文で明記

2 賃貸借に関するルール
敷金や原状回復についての基本的なルール

特に、賃貸借に関しては、テレビのニュース番組でも取り上げられていましたので、ご記憶の方も多いのではないかと思います。

幸い、この2021年4月1日については、昨年のような大きな民法改正に関わるような内容はありません。契約に関するものは、新規契約分はもちろん「新法」に基づいて契約書が作成されますが、「旧法」に基づいてできている契約書は引き続き契約期限まで有効という側面がありますので、新旧の両方を知っていなければならないという煩わしさがあります。

改正された内容のうち重要なものは、今回、条文として明文化される前に判例として示されていたものがありましたので、新法が問題なく定着していくものと思われます。

民法は以上ですが、4月1日から施行されるもののなかに、社会保険労務士さん関係の項目がいくつかあるようなので、明日、見ていきたいと思います。

(契約申し込みもペーパーレス、電子申請が増えてきているように感じます。イラストはいらすとやさんからいただきました)