デジタル社会のインフラとは

我が国で多くのユーザーに使用されている情報通信アプリの「Line」の個人情報が開発委託先の中国の企業で閲覧可能な状態になっていることが大きな社会問題になっています。

背景には、アプリの開発には日本の技術者ではコストが高いため、中国などの海外に安易に委託するという長い間の業界の習慣があるものと思います。このアプリに限らず、銀行のATMはじめ多くの日本の社会インフラ関連のソフトウェアの開発が元請会社から海外の会社に委託されていることが指摘されています。

経済がグローバルになっていますので、例えば、製造業であれば、部品の製作などに関して、海外の部品専用メーカ製のものを使用するということも十分ありうるものです。衣料分野もそうなっているものと思います。

ただし、情報産業に関しては、それぞれの国情が異なります。特に、中国が、国家情報法で、国にとって有害な内容が含まれていないかなどを監視する目的だと思われますが、情報提供が義務付けられていることが問題です。

今後、ますます、「デジタル化」を進めていこうというのが我が国の政府の方針です。その趣旨のなかに、少子高齢化に対応するきめ細かいサービスを「デジタル」なツールを活用することによって実現させるということのほかに、国内の産業を育成して都市集中ではなく地方も経済成長の効果をもたらすという狙いがあります。

そのせっかくの多額の国内経済向上のための政府の資金が、スルっと海外企業にまわるのはもったいないと思ってきましたが、今回のことを契機に、さらに、情報セキュリティという観点でも、何か歯止めのようなものが必要なのかと思った次第です。

(いらすとやさんのLineスタンプがあるそうで、そのイラストを使わせていただきました)