デジタル化は地方からも

世界各国の行政のデジタル化の進捗に対して、わが国はたいへん遅れをとっていると評価されています。原因はいろいろ挙げれれています。それを打開する目的でデジタル庁が創設され、トップダウンで省庁の壁を取り払い、所有しているデータの有効活用など、市民にとって手続きが簡素で便利な世の中になっていく機運です。

国がその方向でも、現在の社会の仕組みでは、例えば、都道府県は国の出先機関ではありません。基本は総務省の指導で大枠は決まっていますが、それぞれの自治体の実情に合わせた独自の取り組みが行われています。

そのような各地方の独自色が良い方向に発展していけば、金太郎あめのようなどこかの国に比べて、たいへんユニークで豊富な地方文化が花開くということになるようにも思います。その観点で、「自治体通信」などを読み、それそれの自治体トップの方の構想を読んだりしています。

本日は、加賀市の宮元市長のインタビュー記事を読みました。

「顕著になる少子高齢化、止まらぬ人口減少、さらに足元ではコロナ禍による地域経済の低迷―。地方都市を取り巻く環境が一段と厳しさを増すなか、いかに持続可能な発展を遂げられる都市=スマートシティを築けるか。」これは、多くの地方都市が抱える、共通の課題そのものです。市長は、「スマートシティ構想を最重要課題」と位置づけています。

「道路や橋、公共施設といったインフラや「ハコモノ」への投資は、選挙の際には票につながりやすいとされ、地方行政はついその方向へと流れてしまうと指摘されがちです。しかし、それではまちの状況は変わりませんし、未来への展望は開けないのは残念ながら過去の歴史が証明しています。」こういう視点をトップがお持ちだということは頼もしいと思います。つい、市民にとって見やすいもの、看板のようものに走ってしまいがちだと思います。

平成26年に日本創成会議が「消滅可能性都市」というものを発表しました。少子高齢化や人口減少が進み、やがては消滅する都市を予測したものです。加賀市は金沢市以南の石川県内で唯一、その「消滅可能性都市」に該当する自治体となってしまったということです。そこに市全体が危機意識を持ち、市長自身もなんとかしなければという新たな政策を打ち出したということです。

そこで、長期的な視点に立ち、「人材育成」と「新技術の導入」を二本柱に据えた、ということです。ここが評価すべき点だと思いました。つい、足元の地場産業や特産品を看板にして、観光で人を呼び寄せるということをやってしまいがちです。

「人材育成」についても、長期的な視点に立ち、国の学習指導要領の改訂に先駆けるかたちで、平成29年度から市内すべての小中学校でのプログラミング教育を開始。これは当時、全国初の挑戦ということです。たまたま、コロナ禍で、リモート教育の必要性から、多くの小中学校にもパソコンやタブレット端末が普及しつつありますが、それに先駆けて取り組んできたという着眼点は相当なものだと思います。

東日本大震災から10年の節目で、あちこちのマスコミで東北の新しい動きを取り上げていますが、あえて、本日は、そのエリアではないものの、新しい取り組みをしている自治体に注目してみました。

「スマートシティ」のなかみまでは全部理解できておりませんが、このような取り組みにも注目していきたいと思います。

(かわいい画像、いらすとやさんからいただきました)