在留資格の更新、変更も個人でネットから手続きができるように

昨日の新聞記事です。「ネットで在留資格変更、個人も可能に 21年度」

日本に滞在する外国人が在留資格を変えたり更新したりする手続きについて個人がオンラインで申請できるようにする、しかも、2021年度から、というものです。これは、案外、スピーディに進み、そして、やがては、入管手続きの取次申請を専門にしている行政書士の業務が大幅に縮小されることになるかもしれません。

現在でも、オンライン手続きができる道はあります。ただし限られていて、企業や団体が代理で申請する際のみです。それを在留外国人の個人全員がスマホからできるようにしようというものです。狙いの一つに、「いまは外国人が在留資格を変えたり更新したりする場合、原則として地方出入国在留管理局に出向く必要がある。特に春先は留学から就労への在留資格の切り替えが集中し、申請待ちに数時間かかるときもある。」という受付窓口の混雑を和らげ、新型コロナウイルスの感染拡大も防ぐということもあるとされています。

すでに、「企業や団体」が本人の代理でオンライン手続きができる制度がありながら、2019年度の在留期間の更新数は77万件、在留資格の変更は28万件と相当な数ながら、オンライン申請はこのうち数%しかないという実態があります。単なる申請書1枚ではなく、会社員であれば企業との雇用契約書を、日本人の配偶者の場合は婚姻関係を証明するたくさんの資料を提出する必要があり、なかなか、オンライン化に乗りにくかったという実態があります。

このような「疎明資料を求める」ということに変わりはないのでしょうから、機械的に、個人が窓口に行かなければならなかったものをスマホからオンラインで受け付けるという仕組みを設けたとしても、数々の資料をスマホで写真にとって送信するという手順が必要であり、なかなか面倒な気がします。あるいは、書類の不備があった場合、やはり、ネットを通じて本人に連絡がいくのかと思いますが、そういったやりとりは、役所の側の大幅な負担増にならないか懸念されます。

入管手続きが専門の方のお話では、「審査は裁量の幅があるのでうまく通すにはコツがある」という側面もあるようですが、審査に用いられる「入国・在留審査要領」は、公表されてますので、審査の透明性が進んできていることと思います。提出すべき資料の簡素化がさらに進めば、この種の手続きもデジタルに処理されるようになるのか、本年度から始まる新たな制度の普及の成り行きを見守りたいと思います。

(イラストはいらすとやさんからいただきました)