便利な制度に変えていくこと
様々な行政手続きの印鑑廃止のように、明治以来、当たり前のように行われてきたことにとらわれず、無駄と思われるような手続きを見直していこうという大きな流れがあるものと思います。新型コロナのような目の前の危機に対して、鉄の壁のように行政手続きが「とうせんぼ」するようでは援助を受ける必要がある方々に、支援の手を差し伸べることができなかったり、必要なタイミングに間に合わなかったりすることの社会的な反省だと理解しています。
数日前の新聞に、生活保護申請の緩和の記事が掲載されておりました。生活保護の申請の際に、福祉事務所が本人のご親族に援助できないかどうかを確認する「扶養照会」という手続きを踏む必要があるのですが、それを緩和しようというものです。
現行では、親族に連絡をとるといっても「20年以上音信普通の親族には照会不要」となっていたものを、音信普通期間が10年程度であれば連絡する必要がないということに運用を緩和するよう、厚生労働省が各地方の福祉事務所に通知するという内容でした。
新型コロナの影響で、一時的に収入が途絶えて、緊急避難的に生活保護が必要になるケースもあるようですので、このような手続きの緩和は歓迎すべきことのように思います。
印鑑不要や行政手続きのデジタル化とは一味違いますが、この種の、形式的な手続きの見直しが広く行われるタイミングであり、私たちの側も、従来はこうだったという習慣にあまりとらわれない自由な発想を求められるような気がしております。
(イラストは、いらすとやさんからいただきました)