行政のDXについて(5)

行政の各種手続きのDX(デジタルトランスフォーメーション)は、住民票申請の際に印鑑不要というような、目に見えるところから、さらに分野に広く展開されているようです。

昨日、「町田市、NTT東 協定締結し道路工事の申請などオンライン化目指す」という記事を拝見しました。「町田市と東日本電信電話(NTT東)は、「ICTを活用したスマートシティの実現を目指した共同検討に関する協定」を締結したと2021年2月5日に発表した。」という内容です。協定に基づき、道路工事の際に市への申請が必要な「道路占用許可申請」のオンライン化と、「災害時情報共有のオンライン化」に向けた検討・実証に共同で取り組む、とされています。

念のため、NTT東日本がプレスリリースした内容もみてみましたが、同じ内容になっておりました。用語の間違いではないようです。

この記事では「道路占用許可申請」のオンライン化がうたわれています。気になりましたのは、「道路工事の際の申請」の部分です。

「道路占用許可」とは、道路上や上空、地下に一定の施設を設置し、継続して道路を使用することを「道路の占用」といいます。
○該当例
◆電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する等
◆道路の上空の看板、家屋・店舗の日除け等

つまり、通常イメージされるような短期間の道路工事ではなく、数か月なり数年なり、一定の期間、道路を占用することを指します。確かに、この許可申請は市町村長に対して行うものです。

一方、記事の見出しにあったような、「道路工事」に関しては、

「道路の本来の用途に即さない道路の特別の使用行為で、交通の妨害となり、又は交通に危険を生じさせるおそれのあるものは、一般的に禁止されていますが、このうち、それ自体は社会的な価値を有することから、一定の要件を備えていれば、警察署長の許可によって、その禁止が解除される行為を、道路使用許可が必要な行為として道路交通法第77条第1項に定めています。」とされています。

この許可申請は、市長村長ではなく、警察署長に対して行われるものです。

整理すると、

◆道路占用許可→市町村長に申請(道路法32条1項など)

◆道路使用許可→警察署長に申請(道路交通法第77条第1項)

となっており、依って立つ法令自体が別のものです。

ここで、字句に文句を言うのではなく、せっかく「デジタルトランスフォーメーション」の流れなので、この申請がオンラインでなされるようになるのだとすれば、仮に、ルールどおりではなく、間違った申請先に送られた場合でも、簡単に行政の側が転送してくれて、「この申請は市」で「あの申請は警察で」などと、うろうろさせずに、片づけてあげる、というサービスにならないものかと思った次第です。

(かわいいイラスト、いらすとやさんからいただきました)