電子帳簿保存法とタイムスタンプとは
官公署に提出する様々な申請書類のデジタル化が検討されています。同時に、申請の根拠となる契約書や領収書などの帳票類の一部は、いちいち提出はしないものの、適切に管理保管しておく必要があります。
そのルールを定めたものが「電子帳簿保存法」です。この法律によって、契約書や領収書といった取引関係書類の電子データ保存、スキャナ保存が可能になっています。
先行しているのは、税務の領域です。ただ単に保存しただけでは、税務上の正式書類として認められません。電子データは容易に改ざんできる可能性があると考えられているためです。正式な書類として存在するため、例えばスキャナ保存する場合は「タイムスタンプ」を付与することが要件とされています。会社に出勤したときに、タイムカードを機械にセットすると、ガチャンと、出社時間がカードに記録されます。それと似ています。
「タイムスタンプ」とは、ある時刻にその電子データが確かに存在していたこと、またその時刻以降に不正な改ざんなどがされていないことを証明するためのものです。紙と違って、電子データは容易に改ざんできることや、「正本」であることの印鑑を押すことができないので、特別な工夫が必要になるものです。
したがって、勝手に時刻を記入しても信ぴょう性がありませんので、第三者、すなわち、タイムスタンプを発行する時刻認証局(TSA:Time-Stamping Authority)がそれを行います。手紙で例えると、郵便局の消印に近いイメージです。
タイムスタンプは、一般財団法人日本データ通信協会が認定した業務とされています。受領者がスキャナーで書類を読み取る際に、手書きで署名をした上で、3日以内にタイムスタンプを付与する操作を行うこととされています。
ここでおもしろいのは、デジタル化に進んでいくのですが、電子データは簡単に複製ができます。例えば、1枚の領収書を複数の人が、自分宛のものだとしてスキャンして保存することもできてしまいます。それを防止するために、スキャンする前に手書きの署名をすることが必須条件になっています。それを決められたアプリを通じてアップロードすることによってタイムスタンプが発行される仕組みになっています。
印鑑をなくするのですが、思わぬところで、本人確認の手続きが介在するのでした。
(イラストの著作権はジブリです。本文とは関係ありません。「耳をすませば」からいただきました)