行政手続きのデジタル化;国と地方の役割
印鑑不要やマイナンバーカードの普及が表に出て、急速に進展しつつある行政手続きのデジタル化です。そうなると、役所の窓口で、例えば、転居した場合なども、申請書に押印する必要もなく、さらには、自宅のパソコンやスマホから手続きができるようになるのか、とぼんやりイメージしておりました。
そうなると、その方面に疎い、高齢者の方は、かえって不便になるのではないか、デジタル難民が生まれるのではないかということも心配でした。
また、すべての都道府県や市町村が一斉に同じような書式やデジタルな仕組みに置き換わるのは難しく、先行する自治体もあれば、人数が多い割には職員数が少なかったり予算が少ないところは、どうしても遅れてしまうのか、ということも気になるところです。
なにしろ、地方自治法などで、国の役割と地方自治体の役割は、はっきりと線引きされています。地方のことは地方が独自で行いなさいというのが、今の我が国の制度になっています。ちなみに、国がやるべきこととしては、次のように規定されています。
①国際社会における国家としての存立にかかわる事務
②全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務
③全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施
一言でいえば、国際的なことや全国規模のことのみが国の役割であり、また、地方は国の下部組織ではないとされています。今回のような変革にあたり、国は大筋の方針を示し、各論はそれぞれの自治体で具体化していくという手順になるものと思われます。
行政手続きのデジタル化、すなわち、「スマート自治体」の進め方に関しては、総務省からわかりやすい資料が展開されています。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000630716.pdf
ここに示されている流れは、モデルとなる取り組みを先行していくつかの自治体に実施させて、それを各自治体に水平展開するという手順のようです。
おもしろい取り組みとして、この資料のなかに、「書かない窓口」(北見市、船橋市)というものが紹介されています。明日、その内容を詳しくみていきたいと思います。
(イラストの著作権はジブリです。本文とは関係ありません。「もののけ姫」からいただきました)