印鑑に代わるもの;「eシール」その1

行政手続きにおいて「印鑑廃止」の次に採られる方策として「デジタル化」があります。
たぶん、制度が切り替わった段階では、「昔のほうが簡単で便利だった」ということになるような気がします。
また、「デジタル」なツールは、日々、進化し続けているようで、法律で縛る場合も、この方法でなければならない、というようなことにはならず、広く網をかけるようなものになるのではないかと見通す人もいます。
手続き資料や契約書の関係で、「印鑑」に代わる役割を果たすものとして、①電子署名、②電子サイン、③eシールというようなものがあります。似ているようで、目的なり信頼性が少しずつ違います。1回では済まないほど、難しい内容になりますので、それを少しずつひも解いていきたいと思います。
英語の「サイン」を和訳すれば「署名」ですが、電子署名は「電子署名法」という根拠になる法令があります。この分野では、「電子署名」と「電子サイン」は違うものを指すというところから、まず、混乱してしまいそうです。
それを解説すると難しくなるので、本日は、一番、簡単そうな 「eシール」について。
「シール」は「封印」のことですが、 「eシール」とは、Electronic sealのことです。
「請求書や領収書等について、企業が電子的に発行したことを簡便に保証する仕組み」として使われようとしているものです。機能がまったく同じではないのですが、従来に置き換えれば、領収書に「社印」を押していたことに代わるものです。「電子データを発行した組織として、組織の正当性を確認できる仕組み」を保証するものになります。
EUでは、加盟国内でデジタル単一市場として電子取引の適切な機能を確保するために、2014年にEU直接法として法整備が行われ、すでに、 「eシール」 が使われています。
その規則、もちろん、英文ですが、日本語にすると、 「eシール」について、次のように解説されているそうです。
◆eシールは、データ/文書の出所と完全性を保証するために、法人に対してのみ発行され、使用される。
◆eシールは法人の電子署名ではありません。
◆eシールは情報システムでも使用できるため、安全な自動取引をサポートする強力なツールとなります。
いきなり、難しくなってきました。eシールは商取引には使えるけれども「 法人の電子署名」ではない、ということです。
わかりやすく、従来の概念で言えば「社長印」ではないという程度の意味になります。
「法人には、法的に法人格が認められていても、意思表示をするには、法人の代表者などの自然人でなくてはなりません」
つまり、領収書の印として「eシール」は必要かつ十分。しかし、契約書のような社長印に相当するものとしては十分ではない、ということと理解しました。
「印鑑を無くせ」というのは簡単ですが、無法地帯にするわけにはいかないので、次に来るべきデジタルな道具立てについて、少しずつ、勉強していきたいと考えております。
「eシール」は1回では書ききれず、続きます。

(著作権がジブリにありながら使用はご自由にということで、「ハウルの動く城」など、6作品の画像が追加でオープンになりました。今回もそのなかから使わせていただきます。「風立ちぬ」から)