あらためて、行政手続きのデジタル化の障壁について

様々な行政手続きのデジタル化が検討されています。

これは今に始まったことではなく、10年以上前から世界に先駆けてデジタル政府を作ろうという構想はあったのですが、うまく進まなかったようです。今回は、きっと、その反省なども踏まえて、相当進むことを期待しています。

過去にうまく進まなかった理由として、少なくとも、3つ、わかっています。

一つは、豊臣秀吉の時代の太閤検地からはじまって、日本は戸籍がしっかりしています。また、太平洋戦争の時にはお米でもなんでも配給制になり、よりそれがきめ細かく作成されました。そういった完成したものを変える試みというのは、やっかいなのですね。固定電話から携帯電話への移行が連想されます。インフラが何もなかった国のほうが携帯電話の普及が早い、しかも安い、というようになっています。

二つ目は、地方分権の流れです。特に大きいのは、平成12年(2000年)の「地方分権一括法」です。すでに、各都道府県や市町村は、国の下請け機関ではなくなっています。様々な役所内の手続きに関しても、一つの様式に縛られることなく、各市町村が独自に作成できることになっています。バラバラに。

三つ目は、これら二つに関連するのですが、各自治体が調達するコンピュータシステムは、日立、NEC、富士通など、どのメーカのものでもかまわなく、それぞれのシステム間には、もちろん互換性がないのです。地方もそうですし、政府内も各省庁によって使っているシステムが統一されていません。

でも、できる道筋はあります。それを強制的に刷新する必要はなく、それぞれが共通するデータベースを引用しにいけば、結果としての一体化が図れます。マイナンバーがその役割を果たすようです。計算機の性能は各段に向上していますので、やりとりをさせること自体に時間がかかることはありません。

もう一つ、要因がありました。個人情報保護法です。何か、個人情報を提供する際に、お役所は、この情報は申請された目的以外に使いませんという約束に基づいて管理しています。あえて、壁を作ってきています。それを全廃するのは難しいでしょうが、少し融通を効かせるということが必要になると思います。

よその国はよその国、日本は日本です。いろいろな歴史やしがらみがあります。新型コロナの関係で、「国民全員一律に定額給付金を支給する」というようなことが引き金になり、現状の不便さを皆が思い知ったなかで、過去の規制にとらわれない、新しい仕組みや行政手続きの方法が刷新されることを期待したいと思います。

(著作権がジブリにありながら使用はご自由にということで、「ハウルの動く城」など、6作品の画像が追加でオープンになりました。今回もそのなかから使わせていただきます。「耳をすませば」から)