特定行政書士とは

今年の春先は、正体不明の強力な新型コロナウィスルが猛威を振るい始めた頃だったため、大勢の人が集まるような行事、卒業式も中止、資格試験も中止や延期に追いやられました。

現時点では、米国やフランスなどは1日に数万人単位の新規感染者が出ているとの報道があるのと比較すると、日本全体でみても数百人レベルなので落ち着いてきていると誰もが感じていることと思います。

秋は、秋で、いろいろな行事があります。私の身の回りでは、「川崎市民祭り」が中止になりましたので、その行事の一環として例年行ってきた行政書士による無料相談会を形を変えて、面談、電話相談、ZOOMのバリエーションを取り入れて、密にならないような工夫をしつつ開催する準備を進めているところです。

一方、様々な資格試験も本来、秋は真っ盛りです。年内に試験の合否がわかれば、来年度に向けて新たな資格による転身や事業発展など別の道が開けてくるという季節に相当します。

昨日は、「令和2年度宅地建物取引士資格試験」と、日にちがいつも重なるようですが、「特定行政書士法定研修の考査」つまり試験が行われました。私も昨年、どちらを受験するかさんざん迷い、特定行政書士のほうを選んだ経験があります。

行政書士のメンバーしか認知度がないようなので、本日は、この「特定行政書士」について、少し解説しておきたいと思います。

行政書士になってから一連の法定研修を受け、その後で試験に合格すれる必要がある資格です。一言でいえば、行政手続きを進める上で遭遇する「不許可」などの事例に対して、「不服申し立てを行う権限を持つ行政書士」ということになります。

そもそも、行政書士は役所に提出する書類を作成するのが主な仕事です。個人・法人問わず依頼を受けて公的書類の作成や官公署への申請を代行します。取り扱うことのできる書類は1万種類以上とも言われ、手続き先となる官公署も多岐に渡るほか、独占業務もあるなど業務範囲が非常に広いのが特徴です。

特定行政書士は通常の行政書士にはできない不服申し立てという業務を行う権限を持っています。

申請をして不許可になった場合に、行政官庁に処分の見直し等を求めるための手続きを行うことができるのが特定行政書士の役割です。そもそも、法律上、不服申し立て業務は弁護士の仕事とされています。それを平成26年の法改正で特定行政書士が誕生して以降、特定行政書士も不服申し立て業務ができるようになったという経緯があります。

条文上は、「許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し(中略)官公署に提出する書類を作成すること」ということになります。

例えば建設業や運送業などの許認可に関する手続きを行政機関に行うケースを考えてみますと、許可が通るケースがある一方で、残念ながら不許可になるケースがあります。簡単な記入漏れならば、訂正して申請しなおすということになりますが、不許可になったことは納得がいかない、というような事態も考えられます。

通常、不服申し立ては弁護士に依頼しますが、特定行政書士はそれが可能なので「審査請求」の手続きに入ります。不服申し立ては処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内に行う必要があり、処分をした行政庁ではなく上級行政庁に行います。

ただし法律で特別に定められている場合は上級行政庁ではなく処分を下した行政庁に直接請求でき、これを「再調査の請求」と言います。

また審査請求をしたものの上級行政庁の判断に不服がある場合、その後に個別の法律に基づき行政庁に請求する「再審査請求」も可能です。

特に、事例が多いのは、実は「出入国管理及び難民認定法」がらみです、年間、数千件の「不服申し立て」の手続きが行われます。日本での在留資格が切れたものの母国に帰りたくない、あるいは、帰れない事情を抱えている人が延長や更新の申請が却下された場合、「三審制」がとられていますので、法定手続きにそって、申請⇒却下、再申請⇒却下という一連の手続きを踏み、最終決定がくだされるまでは日本に滞在することができることから、この制度にすがっている人が大勢存在します。

他の一般の建設業や運送業などの許認可関係では、そもそも要件を満たさないような申請は事例が少ないため、実際には「再審査請求」のようなケースはまれのようですが、もし、理不尽な行政判断があれば、それを是正していくことに一役買うための資格です。

昨日、コロナ影響下なため、マスク着用しながら数時間の試験に臨まれた皆様、お疲れ様でした。

(ジブリからいただきました。本文とは関係ありません。「かぐや姫の物語」から)