あたりさわりのないこととは
菅新総裁が「デジタル庁」を提唱してから、なんとなく、将来のことが書きにくくなってしまいました。元総務大臣も務められた方なので、停滞している国と地方行政の関係も「デジタル」を基軸にして、強力な施策を展開するのか。建設キャリアアップシステムも入管手続きも「マイナンバーカード」と数年以内に連携する工程がすでに明記されていますが、たぶん、絵にかいた餅に終わるのではないかと想像していました。しかし、既得権益をぶち壊し、予想に反して、想像以上にうまくことが運ぶかもしれません。なにしろ「デジタル庁」なので。
なので、「あたりさわりのないこと」と言ってしまえば失礼にあたるかもしれませんが、今回は、東日本大震災後の農産物の輸入制限を9年半後に解除した「モロッコ」について書くことにします。
そもそも、ウィキペディアなどの地図をみると、「赤い」領域と「ピンク色」の領域が表示されます。「南に接する西サハラはスペインが放棄後、モロッコと現地住民による(亡命)政府であるサハラ・アラブ民主共和国が領有権を主張している。モロッコは西サハラの約7割を実効支配しているが、国際的には認められていない。」そういう難しいエリアもあることをこの際、おさえておきたいと思います。
日本との関係では、なんといっても「タコ」ですね。スーパーに並んでいるタコの産地名に「モロッコ」産というのをよく見かけます。ただ、遠いアフリカの国ですから、昨年の時点で、在日モロッコ人というのは、6百名程度ということです。
首都は「カサブランカ」。歌謡曲のなかに沢田研二さんの「カサブランカ・ダンディ」、郷ひろみさんが歌った「哀愁のカサブランカ」という曲があります。ボギーすなわち、ハンフリー・ボガード主演の1942年の映画「カサブランカ」がベースになっているようです。この映画はラブ・ロマンスではありますが、当時のモロッコは親ドイツ政権であったり、恋人役のイングリッド・バーグマンがナチスによる陥落寸前のパリに去ってしまったり、当時ならば誰でも知っていた複雑な戦時下の政治情勢を背景にしたものでした。実は、日本も敵国に分類される、反枢軸国の映画ながら、戦後のブームに乗ってヒットしました。そのおかげで、その後、数十年経て、実は映画を観ていない人が多い時代になっても「哀愁のカサブランカ」などに使われることになりました。
スーパーで売られている「タコ」も、「哀愁のカサブランカ」も、とても日本人にとって身近なものですので、この際、もう少し深く知っておくべきかと思いました。あたりさわりのないお話で恐縮です。