入国審査時の「特段の事情」とは

新型コロナウィルスの新規感染者の第2波の真っただ中にいる状況でありながら、当初、春のピーク時に、「秋の頃に第2波が来る、したがって、第2波が到来するまでにすべきことはこれとこれ」という答弁をしたからなのか、現在が「第2波」であることを認めたがらない現象がおきています。

とにかく、まだまだ、安心できる状況にはないようです。

政府の「GO to トラベル」キャンペーンもタイミングがよくないと多くの利用者の賢明な判断で、「無事に」不発となっているようです。

一方で、経済活動を維持継続する上で外国との交流を徐々に緩和していかなければならないという事情を抱えている業界があります。

現在、「現在、水際措置の強化にかかる措置として、入国拒否対象地域に14日以内に滞在した外国人については特段の事情がない限り入国拒否の対象となっています。」と報じられているとおり、百数十か国、すなわち、ほとんどの国との間で行き来ができない状況になっています。

ところで、どうしても、公共工事の際の指導員を呼ぶ必要があるなどの事情から、この「特段の事情」なら入国を認めると読めるこの措置に、うちの事情は当てはまらないか調べてほしいと、ある会社の方から依頼を受けました。

これは、やっかいな相談ごとだ、外務省にでも問い合わせてみようかと思っていた矢先、「特段の事情」についての文書が、出入国在留管理庁から出されておりました。

これです。

http://www.moj.go.jp/content/001321919.pdf

「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否の措置に関し,個別の事情に
応じて特段の事情があるものとして入国・再入国を許可することのある具体的な事例」というもので、8月21日付のものです。

簡単にまとめれば、「家族関係」、「教育」、「医療」の必要性であって、しかも、それぞれの「在留資格」がある人に限定されると書かれています。

勉強になりました。

ふわっと、「特段の事情」と言われれば、なにか入国審査官にそれぞれの特段の事情を泣きつけば通してもらえるものと考えてしまいがちですが、このようなしっかりした「審査基準」があるのであれば、ブレることもないので安心です。

今回は、そのようなことになっている状況をお問い合わせのあった会社の方に説明して、まだ民間の工事のような事例は時期尚早なことをご理解いただきました。

判断の基準が公になっていることの重要性を再認識した次第です。

(写真はacworksさんによる「写真AC」からいただきました)

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