新刊の『スーパーシティ 社会課題を克服する未来のまちづくり』を読みました

行政書士でもある、片山さつき先生が最近、出版された『スーパーシティ 社会課題を克服する未来のまちづくり』という本を、この土日に読みました。

宣伝用の帯には「日本社会が抱える課題を”まるごと”解決する、地域活性化・地方創生の切り札」、「スーパーシティ構想、参画を目指す自治体・企業、必携の解説書」とあります。

そのような各方面、とくに地方自治体への宣伝の効果なのか、Amazonでは、一時、売り切れになっていたほどでした。

内容は、2020年5月27日に成立した「スーパーシティ法」(国家戦略特別区域法の一部を改正する法律)の解説になっています。この法律は、多様な課題を、ビッグデータやAIといったデジタル技術を活用しつつ、規制改革によって同時一体的に解決するための枠組みということで、著者の解説によれば、「エネルギーや医療・介護など、従来一分野のみにとどまりがちであった都市のスマート化・デジタル化を、複数分野で一括して行う、地方創生の切り札」とのことです。

このような新しい施策を地方自治体で推進する際に課題となる、「住民合意」「データの扱い」などについて、後半で少しページを割いて解説されています。

住民の意向・合意の確認をどの段階で行うべきか、という点に関して、

①内閣総理大臣の認定を申請する前の段階で、住民その他の利害関係者の意向を踏まえなければならない

②通常の区域会議のなかに、住民の代表にも加わっていただき、基本構想や区域計画をともに練っていく方法

この二つの方法によって対応できるとしています。

また、個人にかかわる様々なデータの扱いに関して、「改正個人情報保護法」で対応するとしています。「機微データについては一段厳しい規律の遵守を求めます」とのことです。

新型コロナ、人口減少、人手不足という、日本全体、とりわけ地方が抱える問題を解決する一つの方向性かと思いますが、以下は私見です。

---

新型コロナへの政府や都道府県の対応をみていますと、この国は、たいへん、世界各国と全くことなる対応をしているように思えます。政府が一定の方針を示したとして、実行するのは地方自治体なので、必ずしも、そのとおりに実行に移されず、ワン・クッション置かれるという点です。また、都道府県知事の意向も、多くの場合、指示・命令ではなく、要請、すなわち「お願い」だったりします。

戦後、75年経って、そういうお国柄になったととらえるべきで、そうであれば、同じく「AI」を使うにしても、「全員同じサービス」を求めるのは、住民に対して公平なサービスを提供したことにはならず、一人ひとりのニーズに応じて強弱をつけたサービスの提供ということが住民の総意を得ることになるのではないか、それは、「議会に住民の代表が参画している」ということで満足に果たせるものではなく、また、画一的なサービスではなく、デコボコ、まばら、バラバラ、そういった要望に応じた不統一なサービスの提供こそ、日本らしい「AI」ではないかという気がしております。

どの国もそのような行政サービスを目指していないと思われますので、どこか、そのような味付けができれば、「日本流の仕組み」によって世界から一歩先んじることができると思うのですが。進化した「AI」を駆使すれば、それが実現できるような気がしております。いかがでしょうか。