行政のデジタル化が本気で進展することを願っています

政府が7月17日に閣議決定した「骨太の方針」(2020年の経済財政運営と改革の基本方針)のなかに、社会のデジタル化のキーワードが何か所も出てきます。

新型コロナの影響で、国民に一律10万円を支給する「定額給付金」の際にも、行政内のデジタル化の遅れが明確になりました。

また、あちこちの会社では在宅勤務を行う上で重要なツールとして、リモート会議が当たり前のように普及しました。

学校教育の場面でも、ばらつきや格差があるようですが、リモート教育が進められています。

このまま進めば、コロナ影響の産物の一つとして「社会のデジタル化」が相当進展しそうな気がします。

ところで、このような「デジタル化」の方針を打ち出したのは、今回がはじめてではなく、20年前の2000年にも「5年以内に世界最先端のIT(情報技術)国家となる」と宣言しています。なぜかうまくいかない。世界のランキングでも、10位以下になっています。

ランキング3位のエストニアは個人認証に必要なIDカードをほぼ100%の国民が保有するのに対して、日本の「マイナンバーカード」は2割弱ということです。今回、少し普及したでしょうか。

このカードのご利益として、自民党のIT戦略特命委員会が2016年に示した工程表に従えば2018年に運転免許証と機能が一体化し、保有の利点が増していたはずでした。たいへん遅れているのは事実ですが、今回の方針のなかに「運転免許証とマイナンバーカードの一体化」について「検討を開始する」と記載されています。いくつものカードを持たないで済む、あるいは、レンタルCD屋にいって身分を証明するものとして「運転免許証」を提示することが本末転倒ということがようやく是正されることになるかもしれません。

「電子政府ランキング」2位の韓国は、強力な権限をもった組織を作り、国と地方の行政手続きを一挙に統一的にデジタル化に置き換えた結果ということです。

国の手続きについては、掛け声一つでなんとか進めることができるものと思いますが、問題は各地方自治体です。各市町村の設備投資も含めて、かなり強力に推し進めることが必要です。

PCR検査の対応や休業要請の発令の仕方をめぐっても、国と都道府県に温度差がありますが、コロナがきっかけで矛盾も見えてきましたし、国民にとって大きなメリットがあるはずのデジタル化が今度こそ進展することを願っています。

(図は、日経新聞からいただきました)