骨太の方針原案;第2章 感染症拡大への対応と経済活動の段階的引上げ

東京都内で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、小池都知事は、昨日、7月15日、専門家による評価に基づいて設定する警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げました。

そんななか、今年の「骨太の方針原案」(経済財政諮問会議の「経済財政運営と改革の基本方針 2020」)が2020年7月8日に発表になっています。その第2章に「感染症拡大への対応と経済活動の段階的引上げ」と歌っています。

「我が国は、引き続き感染拡大防止策を講じつつ、経済活動を段階的に引き上げるフェーズにある」から始まります。この力加減というかバランスの問題はさておき、内容を少しみていきたいと思います。

1.医療提供体制等の強化
2.雇用の維持と生活の下支え
3.事業の継続と金融システムの安定維持
4.消費など国内需要の喚起

この4つの部分で構成されています。

1項では、医療体制の強化が述べられ「引き続き、日本を含め世界の叡智を結集することにより、効果的な治療法・治療薬やワクチン等の研究開発を更に加速し、国内での生産体制を早期に整備するとともに、ワクチンや治療薬の必要量の確保とワクチン接種体制の構築を進める」と結ばれたあとに続けて、

「在外邦人の実態把握を含め、その保護のための取組を強化する。国際的な人の往来は、ビジネス上の必要な往来から段階的に、感染拡大防止と両立する範囲内において、国内外の感染状況等を総合的に勘案し、国外からの新型コロナウイルスの流入防止に万全を期すため、引き続き水際措置を徹底しつつ、各国・地域と協議・調整の上で実施していく。また、一時帰国した在留外国人の再入国を許可する範囲等について検討する。 」ここに入管の取り扱い、すなわち、「水際措置」問題をもってくるのは多少違和感を感じますが、今回は、2月初旬に横浜にやってきた「ダイヤモンドプリンセス号」から始まることが影響しているように思います。

同時に、新型コロナに感染したか疑わしいときにPCR検査をお願いするところは、今でも「帰国者・接触者相談センター」という名称なのも、いずれ適切な名称に見直されるのでしょうか。

2項、3項は補助金などについて触れられています。

「雇用調整助成金についてのオンライン申請の確実な稼働など手続の簡素化等によるできる限り迅速な支給に加え、休業手当が支払われない中小企業の労働者に対しては、休業前賃金額の一部を休業実績に応じて直接支給する休業支援金の円滑な実行を通じ、雇用の維持に全力を尽くす。」などです。

問題は、4項の「消費など国内需要の喚起」です。

外国人訪問者が地方の観光地などにお金を落とすことは期待できないため、「当面は内需を中心とした回復を目指すことが重要」としています。

ただし、問題は、この部分です。

「具体的には、裾野が広く地域経済を支える観光については、当面、観光消費の8割を
占める国内観光を中心に、宿泊施設の経営内容の見直し等を促しつつ、経済活動の段階
的引上げに応じた需要の喚起を図る。繁忙期の分散化に資する休暇の分散取得や仕事と
休暇を組み合わせた滞在型旅行の普及を促進しながら、飲食やイベントも含め、新しい
生活様式に対応しつつ、強力な価格インセンティブを講じたGo Toキャンペーンの円
滑な実施により消費を喚起していく。」

着眼点は間違っていないのかと思いますが、一方で東京都をはじめ近隣県も感染の地方への拡散を心配している時期なので、タイミングの問題ですね。

小池都知事の会見に戻りますが、国が7月22日から実施するというこの「Go Toキャンペーン」の是非について、「よーくお考えをいただきたい」という表現を何度か繰り返しておられました。

もっとほかに、先にやることがあるでしょうというご指摘に対して、この章の最後は、こんな言葉で結ばれています。

「国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を確保し、オールジャパンで対策を進め、国家百年の大計として、災害に屈しない国土づくりを進める。」

(写真はwatanosさんによる「写真AC」からいただきました)