「改正著作権法が成立」について思うこと
「改正著作権法が成立 海賊版サイト対策、ダウンロードを違法化」
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、社会環境も激変していることを口実に、土日はゆっくりしようかと考えていたのですが、今朝のこのニュースは「著作権」がテーマであり、著作権といえば行政書士が専門に関わることができる分野でもあるので、一言、申さねばと思い立ちました。
何かの犯罪や社会問題が起きると、政府はそれに対処するものとして該当する法改正を行います。今に始まったことではないのかもしれませんが、動機は特定の「事件」ながら、規制強化の向かう先が犯罪者集団だけではなく、広く一般市民の生活にも波及するということがあり得るので、その面でも見ていきたいと思います。
今回の法改正の趣旨は、「著作権者の許可なく、インターネット上に漫画などの著作物を掲載した『海賊版サイト』からのダウンロードを違法」として取り締まるものです。
特に、これまで映像と音楽に限定していたダウンロード規制を、著作物全般に拡大されます。「無断で掲載されたと知りながら、ダウンロードをする行為を違法とするほか、海賊版に利用者を誘導する『リーチサイト』の運営についても規制という内容です。
実は、この法案は、昨年の改正を目指していたものですが、「ネットでの情報収集を萎縮させる」との懸念が出されたため見送られた経緯があります。このため、今回の案では「軽微な事例を規制対象外にする」など、ユーザーに配慮する措置が取られたと新聞報道は伝えています。
懸念されたのは、インターネットの画像をそのままコピーする、スマートホンでも「スクリーンショット」(スクショ)という行為、私もよくやるのですが、これが違法になるのか、という点です。
そこで、今回の改正案では、規制の対象外となる軽微な事例として、「スクショへの付随的な写り込みや、数十ページの漫画の1コマ~数コマのダウンロード」などが提示されています。少し安心しました。さらに、二次創作やパロディー、「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」も違法対象から外したということです。
苦労して時間ばかりではなく、相当の投資をした作品を、勝手にキレイにコピーしたものを「海賊版」として大量に販売されたら腹が立つのは理解します。(本来の行政書士の役割は、著作権者の利益を守るための業務ではあるのですが)、今日、ネット上の様々な情報はいろいろな場面、例えば、教育の題材に使われていたり、サークルのコミュニケーションに役立つなどの活用シーンの広がりを考えるとき、むしろ、強化される規制が情報を活用する側の権利が狭められていないかという方向に関心が向きます。
今回の改正法は令和3年1月1日に施行されます。ただし、違法なサイトへ誘導する「リーチサイト」の規制については今年10月1日からとなっています。
(写真は、たくあんとくもりさんによる「写真AC」からいただきました)