緊急事態の段階的解除について

4月7日から全国を対象としていた新型コロナ感染拡大防止の緊急事態宣言が、影響の少ない県から段階的に解除されることが決まりました。39県がその対象になります。
緩和措置はあくまで新型コロナの感染の状況や病院の受け入れ状況などによって判断されていることで納得がいきました。けっして、「感染防止と経済のバランス」などの尺度ではないということでした。したがって、緊急事態宣言が解除された県にあっても、警戒レベルを必要以上に落とすことなく対処する必要があり、東京など宣言が継続している地域からの人の移動は引き続き自粛すべきだという点が重要だと思います。
今回の件で、テレビなどでは盛んに、外国のロックダウンや解除の状況を引き合いに出します。しかし、それぞれの国には別々の政府の統制力の差異があり、また、医療設備や医療制度の差異があります。さらには規制に対応する国民性の差異もあります。よそはよそ、日本は日本の方法で、この新型コロナウィルスと戦うしかないものと思います。

加えて、今回の事態で政府と都道府県知事との関係を改めて考える機会になりました。政府の方針発表に前後して、主な知事、よく東京都と大阪府知事がニュースに登場しますが、それぞれ困難な状況にありながら、たいへんきめ細かい措置をとっていることを感じました。

まだまだ、多くの国民が誤解しているのが残念ですが、「政府は中途半端な方針しか示さないのに、東京の小池都知事や大阪の吉村知事はしっかりしている」という構図ではないことを、どうしてもこの際、よく理解すべきだと感じます。ニュース番組に登場するコメンテーターの方自体がその点を正しく認識していないのではないかと思うことがあります。

今回は、全国規模の問題なので特別措置法に基づいて、政府が緊急事態宣言を出しましたが、様々な行政上の課題は、地方分権が進められています。平成12年に制定された、「地方分権一括法」によって、各地方公共団体は自らの判断と責任により、地域の実情に沿った行政を展開していくということが定められています。都道府県は国の下請け機関ではなくなっています。保健所の運営も国が一律に管理しているわけではなく、それぞれの地方自治体に運営責任があるので、地域差があって当然であり、そのような実情も踏まえて、各知事が判断していくという仕組みになっていることを再認識するチャンスかと思います。

さて、本日は、「経済」のことには、あえて触れないでおきたいと思います。あくまで、緊急事態の段階的な解除は感染拡大との戦いや医療施設の逼迫の度合いで判断すべき問題だと思うからです。

まずは、感染拡大防止に引き続き、協力していきたいと思います。

(写真は、Hirocoさんによる「写真AC」からいただきました)