コロナに負けない;外国人材が必要だった業種はどうなるか

人々の経済活動などは、自然の驚異の前では、箱庭のようなものなのか、人知の及ばないところで、大幅な方針転換を迫られることも起こります。

東日本大震災を境にした、エネルギー政策がそうでした。震災の直前までは、原子力を我が国のエネルギー源の50%程度にまで拡大する計画がありました。今、それを唱える人はいません。

また、ここ数年の景気の拡大と反対に少子高齢化が進み、圧倒的に働き手が不足する背景から、「我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から,専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進」するということで、外国人の新たな在留資格として「特定技能」の制度が作られ、従来からの「技能実習」に加えて、人材不足が懸念される、以下の14の分野で積極的に外国人労働者を受け入れる制度がスタートしていました。

◆介護,ビルクリーニング,素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業,
建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業

それぞれ、新型コロナウィルスの影響が現われています。

今は、入管関係も、渡航禁止の国のことや、「ダイヤモンド・プリンセス」とは別の長崎に停泊中の外国人乗組員の感染拡大への対処など、日々、たいへんな状況にあるものと思いますが、いずれ、各業界の新型コロナ影響、景気回復の遅い・早いなどを見据えて、見直しが必要になるかと思います。

以下は、私が勝手に、上記14の業種はどういうことになっているのか推測してみまたものです。

◆コロナ以前と同等あるいはより人材が必要な業種;介護
◆幸いにも影響を受けにくい業種;農業,漁業
◆景気の回復が遅れると影響が出る可能性あり;建設、
ビルクリーニング、自動車整備,飲食料品製造業
◆サプライチェーンを海外に頼っている場合は見直しも必要か;
素形材産業,産業機械製造業,電気・電子情報関連産業
◆コロナとは別の世界経済の影響を受けるか;造船・舶用工業
◆今回ダメージを受けている業種;航空,宿泊,外食業

我が国の産業側の上記のような状況の変化があることに加えて、人を送る側の各国にとっても、日本で働くということは相変わらず魅力的なことなのかどうか、価値観の変化が起こる可能性もあります。

こういうことを論じるべきだと考えるのは、先の東日本大震災の前後に大きな政策上のギャップがあったように、外国人材に関しても今回のコロナ禍の前後で対応方針の変化があり得るかと思います。

コロナ禍がおさまったあと、これから来る人材に関しては、その状況に応じて適切に対応していくとして、現に滞在している、日本で働くことに魅力を感じて渡航してきた、外国人の方の行く末がたいへん気になります。

(写真は、cheetahさんによる「写真AC」からいただきました)