パチンコ店の休業要請の報道に関して思う

新型コロナウィルスの感染拡大防止に関して、緊急事態宣言が出され、政府や東京都知事が外出自粛、「ステイホーム」を呼びかけています。また、具体的に不要不急ながら人が集まるところには、休業要請を行っています。ただし、我が国の場合、警察が出動して要請に従わないお店を取り締まるというような海外のような罰則付きではなく、あくまで、休業要請であり、従うかどうかは経営者の判断に委ねられています。

そうはいっても、今回は、人の命に係わる問題であり、罰則がないからとはいえ、それに従うのが当然と考えるのが常識的なとらえ方だと考えます。

どこにも例外はあるのもので、その休業要請に従わない典型として、数軒のパチンコ店があります。大阪府は、要請に従わないパチンコ店を見せしめの意味かと思いますが、名前を公表しました。

その結果、素直にか、しぶしぶなのか、休業に踏み切ったお店が数軒あったようですが、「従業員の雇用も守らねば」という理屈をつけて、相変わらず営業を続けているところがあります。あからさまに、休業要請をするのであれば従業員に支払う現金をもって来い、と言っているようなものです。緊急事態宣言が出されている都道府県の多くの店舗にとっても同様の問題を抱えながら、そこは大人の対応というか、まずは人命優先ということで休業に応じているなかで、まったくどうしようもない対応だと考えます。

それに輪をかけて、テレビのニュースでは、要請に従わない店名を公表した翌日に、それはイイことを聞いたとばかりに、わざわざ、その店にならび、パチンコをしに行く男女の長い行列の映像を報道しています。

テレビのニュース番組は、いわば、ショーのようなものなので、おもしろ珍百景のつもりで、このような人たちをおもしろおかしく報道することで、お茶の間の失笑を誘うという演出かと思いますが、まったく、よろしくない対応だと感じました。

海外のように、警察が出動して取り締まるというようなことがありませんし、パチンコ店に通っても罪にはならない我が国特有の「自由を守りながら新型コロナに対処する」という憲法に裏打ちされた基本姿勢なのは、国民がみな了解していることですが、ことは、一斉逮捕にも匹敵するような事態になっている緊張感が、わざわざ、パチンコ店に並んだ人たち以上に、テレビ局側になさすぎるように感じました。

掟やぶりの行動をとる人たちの画像を流すのであれば、そういう行動をとった場合、どんな社会的な処罰に遭遇するのか、というような、外出自粛を促すためのものでなけらばならないように思うのですが、政府や知事の施策をあざ笑うような報道を行うことに意味があるのか、それよりも無視を決め込み、後日、そこで感染者がクラスターになって拡大した場合、手厳しく報道するというような使い方ができなかったのか、思慮のなさを感じてしまいます。

あちこちのキャンプ場に県外から訪れる少数の人たちを映したりしているのも同じようなものです。

強制的に取り締まるものではない、外出自粛要請である以上、「家でじっとしているのが長引けばストレスがたまる」というようなコメンント付きで報道することの意味をもう少し考えるべきではないかと思います。

あるいは、海外でそうしているように、警察がきっちり取り締まるべきだということをテレビのニュースは訴えたいのか、もしそうなら、そのようにはっきりアナウンサーが主張すべきだと思います。

世界一ゆるい規制でも、大多数の国民の協力によって、この新型コロナウィルスの拡大がとまり、医療崩壊に至らないことが必須のこの「ステイホーム」週間ですので、テレビは、つまらない報道を流すよりは、「砂あらし」か「テストパターン」でも映して、お休みしていたほうが、世のためになるような気がします。

(OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像をいただきました)