緊急事態宣言も大事ながら;建設業の「新担い手3法」の展開(前編)
昨日、政府が7都府県に緊急事態宣言を発令しました。
宣言が出される前から、自粛状態に入っている方にとっては大きく日常生活が変わるものではないのかもしれませんが、宣言の趣旨をよく理解し、一人ひとりが新型コロナウィルスの感染拡大防止に努めたいものです。
そんななかで迎えた4月です。新年度から一斉にスタートということではありませんが、建設業の分野では、昨年、「新担い手3法」の改正を受けて、「中央建設業審議会・社会資本整備審議会基本問題小委員会中間とりまとめ(平成30年6月22日策定)」が出され、いよいよ、具体的な取り組みに入る段階ということで注目しておりました。
タイミング悪く、新型コロナウィルスの関係で、想定外に市場環境が難しくなっています。なかには、建材や重要資材などのうち中国ほかからの輸入に頼っていたものが手に入らないことなどで工程の遅延を起こしている業者様もおられることと推察します。
そんななかで、働き方改革やら建設キャリアアップ制度などにまで手が回らないということになっているのか、気になりつつ、本来、この4月から取り組まれるはずの内容を整理してみます。
少しさかのぼりますが、2017年(平成29年)7月に、「劇的な進展を遂げるAI、IoTなどのイノベーション、確実に到来する労働力人口の減少といった事態を正面から受け止め、10年後においても建設産業が『生産性』を高めながら『現場力』を維持できるよう、法制度はじめ建設業関連制度の基本的な枠組みについて有識者による検討」を行ってきた結果として、建設産業政策会議が報告書、
「建設産業政策2017+10 ~若い人たちに明日の建設産業を語ろう~」
というものを発表しています。ちなみに「にいまるいちななプラステン」と読みます。
「長時間労働の是正」、「処遇改善」、「生産性向上」、「地域建設業の持続性確保」を柱にしたものです。
具現化するものとして、平成26年に「公共工事品確法」と「建設業法」・「入契法」を一体として改正された「担い手3法」から5年経過の実績を踏まえ、その趣旨をさらに推し進め、「新担い手3法」として、昨年、法改正が行われました。(令和元年6月成立、同月公布・施行)
「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」では、
1.災害時の緊急対応の充実強化(災害対応の担い手の育成・確保、災害復旧工事等の迅速かつ円滑な実施のための体制整備)
2.働き方改革への対応(適正な請負代金・工期による請負契約の締結、賃金、労働時間その他の労働条件など)
3.生産性向上への取組(情報通信技術の活用等を通じた生産性の向上)
4.調査・設計の品質確保(公共工事に関する調査及び設計を本法律の対象として位置付ける)
という、どの項目も、まさに社会的な要請が高まっている内容です。
長くなりましたので、もう一つの柱である「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」に関しては、明日に回します。
(写真は、acworksさんによる「写真AC」からいただきました)