新型コロナ;首都封鎖の手続きについて考えてみる

新型コロナウィルスの感染者が東京・神奈川・千葉の首都圏を中心に連日増加しています。そのうちピークを迎えるはずと楽観できない状況になりつつあります。
特に、気になるのは、感染者のなかに「感染経路不明」という方が昨日も3割に達しています。この「感染経路不明」を専門用語で「疫学的リンクが切れる」と呼ぶそうで、日経メディカルの記事から図をいただいてきましたが、現在は、巨大なピークのほんのすその位置に置かれているのかもしれません。1日の感染者が百名超えたことに驚いていますが、今後、数千、数万に膨れ上がるのでしょうか。
そうなると、いろいろ議論されている「首都封鎖」をどうしてもやらざるを得ないのか、ということになります。海外ではロンドンでもニューヨークでも比較的早い時期にそのような措置がとられていますが、日本でもそれが必要な時期が来るのかどうか。それ以前に、日本の場合、しっかりと「首都封鎖」という措置がとれるのか、手続き面から少し考えてみました。

まず、土日に限らず、平日の昼間も各家庭から「外出禁止」となります。ニューヨーク州などでも、すべての企業の従業員に在宅勤務を命じています。監視が行き届いている中国などでは、角々に警官が立ち、外出する者に対して、どういう目的でどこまで行くのか記録させるということですが、日本の場合、なかなか管理が難しいかもしれません。
指示に違反した場合に「刑事罰」が科されるのかですが、今の「特別措置法」で刑事罰が規定されているのは、必要な物資を確保するための都道府県知事からの命令に従わず、必要物資を隠匿、損壊、廃棄したケースなどに限られています。「外出自粛」は取り締まることができません。
反対に、日本人の国民性から、いったん「外出禁止」という宣言がなされると、とくに物理的な強制や管理がなされなくても、おとなしく従うということで、これは実現できることかと思われます。

このような措置を発するのは総理大臣ではなく知事の役割になります。都道府県知事は、学校や社会福祉施設、興行場(映画や演劇、音楽、スポーツ、演芸などを公衆に提供する施設)、これらの施設におけるイベントやセミナーの制限について使用制限を要請・指示できることになっています。あえて「ロックダウン」などと言わなくても、今でも、そこそこ、知事からの「要請」というこ言葉だけで、これが行きわたっているように思えます。
脱線しますが、宣言の仕方を政府や都道府県知事は学習しているでしょうか。何かといえば、すぐに、スーパーの棚が空になります。今回ターゲットになるのは、トイレットペーパーにとどまらず、お米や水など長期戦に備えた食料が狙われるかもしれません。仮に「首都封鎖」という事態になっても、そのような日用品の流通は確保されており、何割かのお店は開いていることを上手にお知らせすることが重要かと思います。
何がどこまで禁止されるかですが、大勢の人が集まることは今でもタブーになっておりますので、冠婚葬祭は相当、規模を小さくすることになろうかと思います。特に、時期がずらせないのはお葬式です。最小限の家族のみで執り行い、すっかり世の中がおさまってから、場合によっては、しのぶ会のような催しをもつのが一般的になるものと思われます。このような日常の習慣にもすいぶん影響することと思います。
気になるのは交通手段です。鉄道は駅封鎖、運休や間引き運転になるのか、今のままだと、むりやり会社に出勤したい方が大勢いますので、間引き運転になると各駅がパニックになるような気がします。
まず、出勤自粛から禁止に移行して、通勤客が減少した頃合いをみて、鉄道各社が後付けで運行を間引く、というような順番を守らないと必要以上に混乱するように思えます。

以上、経験したことがない事態なので、「ロックダウン」ですとか、「首都封鎖」など、言葉はものものしいですが、順番に、「やってはいけないこと」を分かり易く示すことによって、ソフトな方法で「首都封鎖」相当のことが達成できるように思えます。

行政のほうで、このあたりも十分、検討されていることと思いますが、ある局面では、日々の経済活動よりも、覚悟して、命を守るというモードに切り替えるタイミングがあると思いますが、その局面でも、上手な展開に期待したいと思います。