公共工事の労務単価の内訳から見えてくること

国土交通省から、令和2年度の公共工事の入札に用いる建設業の労務単価が公表されています。東日本大震災以降の急を要する工事の増加、東京オリンピック関連の都市整備などの業界の活況や昨今の人材不足を反映して、47都道府県・51職種の1日あたりの単純平均単価が20,214円と、はじめて2万円を超えたとされています。
その算出方法は、図に示すとおり、労務者本人が受け取る日当相当の「基本給」に加え、法定福利費、基準内手当、賞与、食事(支給された場合)を含んだ数字です。
「公共工事の見積の際には、こうでなければならない」という国土交通省の意思が反映されたものになっています。残業代や休日出勤の割り増し分は含まれておりません。
雇用する側の事業主は、積算の際に、この単価に加えて、事業主が当分の金額を負担することになっている法定福利費、労務管理費、安全管理費などを加えて、労働者一人あたり、1日、28,502円になります。これはあくまで平均値で、都道府県や職種による増減があります。大事な点は、社会保険や有休休暇取得などの経費をカットしてはいけないということです。すなわち、官庁には、28,502円で積算しておきながら、実際には経費をカットして事業主が利益をかすめ取るということは許されないということです。
公共工事は、このようなチェックを通じて、伝統的に日雇い契約になっていた、あるいは、最近では外国人実習生を低賃金で使っていたこの業界にもメスを入れようとしています。
引き続き、都道府県別、職種別の差異などについて分析していきたいと思います。

(このグラフは、国土交通省の2月14日付けの広報資料から抜粋しました)