新型コロナウィルスと入国拒否事由の関係

中国に端を発する新型コロナウィルスによる肺炎がたいへんなことになっています。政府も、入国申請日前14日以内に武漢市など中国湖北省に滞在歴がある外国人について、感染の有無にかかわらず入国を拒否する措置を2月1日からとったと発表しています。この「入国拒否」に関して、どういう法律的根拠に基づくものなのか見ておきます。

一般に、国家は,その国にとって好ましからざる外国人の入国を禁じ又は適当と認める条件により入国を許可する権限を有することは国際法上確立した原則であり,各国とも公衆衛生,公の秩序,国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人の入国・上陸を拒否することとしています。入管法(出入国管理及び難民認定法)の第5条で、それが示されています。

① 保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
② 反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
③ 我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
④ 我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
⑤ 相互主義に基づき上陸を認めない者

伝染病に関する項目が最初に挙げられています。
法律の条文は、より詳しく「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者(同法第八条の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者」となっています。

【一類感染】エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱症

【二類感染】急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ

この「SARS」、「MERS」も、病原体がベータコロナウイルス属のものです。

今回の新型コロナウィルスと「SARS」、「MERS」の病原体の類似性はさておき、条文のなかで、「新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む」と規定されておりますので、これで読むものと思われます。(これだけ大きな影響が出ていますので、いずれ落ち着いた時点で、今回の新型コロナウィルスも条文に明記されるものと思われます)

ついでながら、「入国許可基準」について。(入管法第6条)

① 有効な旅券及び日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していること
② 申請に係る活動(我が国で行おうとする活動)が偽りのものでないこと
③ 我が国で行おうとする活動が,入管法に定める在留資格のいずれかに該当すること
また,上陸許可基準のある在留資格については,その基準に適合すること
④ 滞在予定期間が,在留期間を定めた施行規則の規定に適合すること
⑤ 入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと

ここでも、「第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと」と明記されています。

今回の患者数の拡大は中国はもちろん、我が国を含む世界経済への影響も懸念されていますので、早期に収束することを願っています。

(写真は、umacoさんによる「写真AC」からいただきました)