今一度、技能実習と建設キャリアアップシステムの関係について

外国人を技能者として受け入れる「技能実習」の制度は以前からあります。また、一般の事業主及び技能者の「建設キャリアアップシステム」への登録も昨年から始まっています。
この「建設キャリアアップシステム」には「技能実習生」も登録が義務付けられることになりますが、それは、本年1月からの開始となっています。国土交通省のホームページ出て「建設分野の技能実習生の受入れに当たり、受入人数枠の設定や、建設キャリアアップシステムへの登録等を義務化する内容の告示を7月5日に制定・公布し、令和2
年1月より施行します。」とアナウンスされています。
このシステムへの登録を決めた背景として、「外国人技能実習生のうち、建設分野は失踪者数が分野別で最多であり、実効性ある対策が急務。失踪要因は、報酬の変動や、就労場所が変わり就労管理が難しいなど。」と分析しています。
それを受けて、「2019年4月から、改正入管法による新たな在留資格(特定技能)の運用が開始されたことを受け、技能実習制度・外国人建設就労者受入事業においても新制度との整合性を図りながら、適正な運用を図る」と定めています。
ただし、以下の段階を踏んで整備されていく計画です。
(1)技能実習を行わせる体制の基準(令和2年1月1日施行)
・ 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
・ 技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること
(2)技能実習生の待遇の基準(令和2年1月1日施行)
・ 技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと
(3)技能実習生の数(令和4年4月1日施行)
・ 技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと

(1)、(2)は、この1月からですが、人数の管理には2年の裕度を持たせています。

「待遇」に関して、「建設業は、季節による受注量の変動が激しい業種。技能労働者の賃金は6割が日給制で仕事がないと手取り賃金が下がる」ことから「月給制を義務化」としています。いわゆる「日雇い労働者」を無くするという施策です。
また、「建設キャリアアップシステムの登録義務化」のメリットとして、雇用主による労務管理、就労管理が難しいことや、現場ごとに他業者との接触が多く、引き抜き等の可能性が高いことをあげ、その防止に役立つとしています。

これも、すぐに完全にはできないということを踏まえてか、技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録する件は、1号実習生は、2号移行時までに登録完了すればよいとしています。
技能実習2号に上げずに1号のまま雇用し続ければ、建設キャリアアップシステムへの登録はいつまでも猶予されるのか、気になるところですが、新規に技能実習生として受け入れる際に、監理計画の認定の際に義務付けるなどの措置を講ずるようです。

「不法滞在者や失踪技能実習生を含む在留資格に応じた活動を行わない外国人を不法に雇い入れる雇用主の責任が重大であること」は、入管法改正の際の国会の付帯決議でも指摘されていることです。適正な運営に期待し、この分野にも貢献していきたいと思います。

(写真はacworksさんによる「写真AC」からいただきました)