内閣府、総務省、文部科学省の人材育成策;就職氷河期

今後、長期にわたり日本経済に深刻な影響をもたらす「少子高齢化」を少しでも緩和する方向に役立つかもしれない、約50万人とも、約100万人ともいわれている、「就職氷河期」の時期に就労できなかった層の活用について。
まず、⑴本人の就労支援、⑵受入れ企業への雇用助成金や条件の緩和、⑶地域のケア、という観点から、この問題に最も密接に関係している「厚生労働省」の施策をみてきました。全方位に行き届いた計画が練られています。中小企業の事業主の方に具体的に提案可能な補助金枠も設けられているようです。

「就職氷河期」問題への対応は、様々な省庁の取り組みが不可欠なため、内閣官房に「 就職氷河期世代支援推進室 」が設置されており、各省庁のこの問題への取り組みをまとめています。そのうち、人材育成に関係する、内閣府、総務省、文部科学省の施策をみていきます。
【内閣府】
・雇用対策の総合的推進に必要な経費
・子ども・若者総合相談センター強化推進事業
・地域における女性活躍促進に向けた取組に必要な経費

【総務省】
・ふるさとワーキングホリデー推進事業
・地域おこし協力隊

都市部の人たちなどが一定期間地方に滞在し、働いて収入を得ながら、 地域住民との交流や学びの場などを通じて地域での暮らしを体感する「ふるさとワーキングホリデー」を推進--このような枠組みのなかに「就職氷河期」に遭遇し、都市で自宅にこもっている人を呼び出そうという試みと受け取りました。

【文部科学省】
・出口一体型地方創生人材養成システム構築事業
・成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT-Pro)
・超スマート社会の実現に向けたデータサイエンティスト育成事業
・学校教育における外部人材の活用促進事業
・専修学校リカレント教育総合推進プロジェクト
・放送大学の充実・整備(放送大学学園補助)
・持続的な産学共同人材育成システム構築事業
・リカレント・ファシリテート人材育成システム構築事業
・女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業
・大学等におけるリカレント講座の持続可能な運営モデル構築
・社会人の学びの情報アクセス改善に向けた実践研究

タイトルを見ただけでは、提案された多数の施策が「就職氷河期」の方々とどういう関係があるのか見えてきません。文部科学省で扱う「人材育成」をキーワードにしたあらゆる施策を列挙しているように思えます。通常のケースとは別枠で、「就職氷河期」世代向けに、少し開けた間口が用意されているのか、個別施策の条件まで立ち入らなければわかりません。
この 「就職氷河期」向けの施策だ、として令和2年度に予算申請している以上、なにかあるものと思われます。

農林水産省、経済産業省、国土交通省の3つは、技能系の労働と直結しますので、わかりやすい施策が網羅されていることと思います。別の機会にまとめます。