まず厚生労働省の施策をみてみます;就職氷河期支援
「就職氷河期」と言われている時期に大学・高校を卒業して、たまたま、運悪く就労できずに自宅等で生活している方が大勢存在します。「概ね1993(平成5)年~2004(平成16 年)年に学校卒業期を迎えた世代を指す」というのが政府の整理です。
「その中心層の35 歳~44 歳で『正規雇用を希望していながら現在は非正規雇用で働いている者』は約50 万人(35 歳~44 歳人口の3.0%)、『非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者(就業を希望しながら、様々な事情により求職活動をしていない長期無業者を含む)』は約40 万人(35 歳~44 歳人口の2.4%)
出所)労働力調査基本集計及び詳細集計(2018 年平均)(総務省統計局)」
各産業とも、これからは少子高齢化の影響で、人材不足ななか、この層をなんとかすべきであると、令和2年度の予算要求のなかで各省庁が積極的な施策を掲げています。
就労の問題と、住んでいる地域でのケアの観点で、最も、施策が盛りだくさんなのは、厚生労働省です。項目をあげるだけでもたいへんな数になります。
①ハローワークに専門窓口を設置、担当者によるチーム支援を実施
②就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース(仮称)の創設
③職業訓練受講給付金
④求職者支援訓練におけるコース設定の要件緩和等
⑤トライアル雇用助成金
⑥特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
⑦雇用型訓練に係る人材開発支援助成金の要件緩和
⑧民間事業者のノウハウを活かした不安定就労者の就職支援
⑨本人や家族への情報のアウトリーチの更なる強化
⑩自立相談支援の機能強化(アウトリーチ等の充実)
⑪就労準備支援事業等の実施体制の整備促進
⑫就労支援の機能強化①(都道府県による就労体験・就労訓練先の開拓・マッチング)
⑬就労支援の機能強化②(農業分野等との連携強化)
⑭地域若者サポートステーション事業 ~若者の職業的自立支援~
⑮就職氷河期世代の無業者に対する地域若者サポートステーションの取組強化
⑯ひきこもり地域支援センターと自立相談支援機関の連携強化
⑰ひきこもり支援に携わる人材の養成研修等
⑱中高年の者に適した支援の充実
⑲「地域共生社会」の実現に向けた地域づくりの強化のための取組の推進
⑳キャリアアップ助成金
㉑雇用型テレワーク普及促進のための施策
㉒就職氷河期世代等に対する積極的な広報の実施
㉓就職支援コーディネーター(人材開発支援分)(仮称)の設置
問題は単純ではないので、広範囲な施策が検討されているのがわかります。一言で言い表すのは難しいですが、⑴本人の就労支援、⑵受入れ企業への雇用助成金や条件の緩和、⑶地域のケア、という分類ができそうです。
やはり、行政書士として、すぐに支援できそうな項目は、受入れを希望する企業に対しての補助金申請のようなアドバイスからということになるでしょうか。個人的には、具体的なイメージはこれからですが、「⑭地域若者サポートステーション事業」のなかで挙げられている「働きかけのための福祉機関等へのアウトリーチ型支援(出張相談)の実施」というような分野も重要な支援策のような気がします。
引き続き、他の省庁の施策をさらにみていきたいと思います。