政府のデジタル・ガバメント実行計画;サービスデザイン実践ガイドブック

2018年3月に、内閣官房から「サービス設計 12 箇条」に基づくサービスデザイン思考の要素(意義、手法、事例等)を取りまとめたものとして「サービスデザイン実践ガイドブック」が公開されています。趣旨は、このように歌われております。

「従来の行政におけるサービスは、公権力の行使、適正手続等といった側面からの要請もあり、申請者等の手続における負担より制度設計者側等提供側の視点を重視しがちで、必ずしもサービスの利用者のニーズに沿っているとは言えないものがありました。この状態から脱却するために、デジタル・ガバメント推進方針においては、利用者中心の行政サービス改革推進の考え方として、サービスデザイン思考を取り入れるとしています。利用者中心の考え方とデジタル技術の活用を組み合わせることによって、利用者と提供者双方のコストを低減しながら、利用者にとっての「価値」を最大化していきます。」

このなかには、「サービス設計 12 箇条」を具体的にどのように実践に移すかということに加えて、いくつもの手法が示されています。
そのなかの一つに、「ジャーニーマップ」を作成する手法が書かれています。
「ジャーニーマップは、利用者体験のエンドツーエンドを旅になぞらえて整理し視覚化したもので、利用者とサービス提供側との関わりをストーリーとしてまとめたものです。」ということですが、行政手続きに即してとらえると、この図のようになります。

行政手続きの現状を分析し、サービスを受ける側の要求を、単に手続きの完了だけではなく、手続きの準備段階や、行政とのやりとりがある手続き中、さらには、帰宅後にも範囲を広げて、それぞれの局面で改善の余地はないのか検討していくものです。

これは、この「ガイドブック」の一例に過ぎませんが、どうしても、受け手の側が、デジタル・ガバメントになると、「申請書類がデジタル化されると様式が変わり混乱がおきるのではないか」とか、「わかりやすいデジタル申請が行きわたると行政書士の業務が削減するのではないか」あるいは、「サービスを享受する際に使用されるマイナンバーカードは普及するのか、安全なのか」といった視点から判断しがちですが、行政の側は、かなり掘り下げた変革を行おうとしていることを認識する必要があると思います。
したがって、様々なチャンネルを活用して、行政手続きの簡素化・合理化などの要望を提供していくチャンスともいえます。現場の行政手続きに精通している行政書士は、この機会を前向きにとらえることによって、結果として行政サービスの質の向上に大きく貢献することができるものと思われます。