政府のデジタル・ガバメント実行計画;マイナンバーカードの安全性
今回の、12月20日の「デジタル・ガバメント」閣議決定では、行政機構内部のデジタル連携について、いろいろ具体的な決定が行われていますが、やはり、行政サービスに反映する上で、100%に近い形でマイナンバーカードを普及させたいということも議論されています。
「カードの利便性を高め、20年7月末に3000万~4000万枚に、3年後をメドに1億枚以上に普及させる」という目標に対して、現状は、約1800万枚で国民全体の15%程度です。かなり低いと言わざるを得ません。
そのため、運転免許更新の機会や住所変更のための住民票の手続きの機会をはじめ、いろいろな場面でマイナンバーカードの普及をやっていこうという具体策が示されています。
誤解されているのは、「政府にいちいち番号で管理されたくない」という考えの方がおられます。
しかし、すでに、番号は振り当てられていますし、行政の内部は、その番号と紐付けた処理が実際になされています。
ですので、「個人的にカードを持たないこと」で頑張ったとしても、無駄な抵抗というか、「全員がマイナンバーに納得しなければ制度が完結しない」というようなことはあり得なく、デジタル・ガバメントはどんどん進行していくのです。
要は、ご自身が便利さを享受するかどうか、という選択が目の前にあるにすぎません。
カードの手前の「マイナンバー」すなわち、12桁の個人番号は、普通、他人に知られても、それによって銀行の預金がおろせるわけでもなく、組織的な犯罪は別として、直ちに実害が生じるものではありません。また、外国では番号を付与する際に、頭の部分に生年月日を「20121225」のように付ける国もあります。中国や韓国の場合がそうです。それに対して、日本の個人番号の12桁は、個人情報とはまったく無縁にい番号をランダムに発行しますので、個人番号の解析により持ち主の属性が明らかになることはないし、住所、性別、生年月日などに基づいて個人番号が推測されることもありません。
一方で、普及しない理由として、「そのような重要な情報を含んでいるカードにすべての情報が集中しているのであれば、それを落としたり、無くしたりしたときに、ほかの人に悪用されるのではないか」という心配をされる方がいらっしゃいます。
これは、愚痴になりますが、たしかに、マイナンバーカードを発行してもらった際に、区役所の職員の方が、「これは大切なカードですから大切に保管してくださいね」と親切心から念をおしてくれましいた。
私は、こういう場面では、「このカードは落としても何の被害もありません。多少の費用はいただきますが、いつでも再発行できますからね!」と言うべきだと思っております。
さて、その普及に一役買うべきだ、という観点で、日行連(日本行政書士連合会)から、総務省発行の各種の資料やパンフレットが送られてきました。
そのなかの「持ち歩いても大丈夫!マイナンバーカードの安全性」というパンフレットから、大事な点をピックアップしました。
私が残念に思うのは、付け足しの「万全のセキュリティ対策」の部分です。これは要りません。こういうことを書くから不安になってしまいます。
①紛失・盗難の場合は、「何もおこりません」でいいのではないかと思います。
「24時間365日体制で」というのはご苦労様ですが、「一時利用停止可能」などのことを書くから、落とすとたいへんなことになるのではないかと逆に心配になります。誰がどういう手続きをするから、何が一時停止になるのか知りたくなってしまいます。
②アプリだの暗唱番号だのはこのカードと連動して、そのようなスマホのしかけを設定できるようになる「将来の話」です。まだ、ひとつもそのような仕組みがないのですから、余計なことは、今は要らないのではないかと思います。
③「不正に読みだそうとすると」--これも心配をあおっています。現に、不正に読みだそうとするとICチップが壊れる仕組みが盛り込まれているのかもしれませんが、そんな二重三重の対策が必要なほど、爆弾を抱えているようなものだと、余計な心配を抱かせるものです。「持ち歩いても大丈夫!」と反対のことが書かれています。
上段は親切丁寧に「安心・安全」なことが書かれているのに、下段は残念です。
ともかく、マイナンバー・カードは安全です。