政府のデジタル・ガバメント実行計画;マイナンバーカードは便利です!

12月20日に「デジタル・ガバメント」閣議の配布資料のなかで、マイナンバーカードの利便性向上についても示されています。一方で、粛々と行政手続きのデジタル化を推し進め、マイナンバー・カードの普及を促進するわけですので、サービスを受ける国民の側にとって、ご利益は広がるのか、という点が気になるところです。

すみません、ここで、「国民」と書いてしまいましたが、外国人について、一言、ふれておきます。

「次の4類型のいずれかに該当する在日外国人は、個人番号の指定を受ける。
①中長期在留者(=在留カードの交付を受ける者)
②特別永住者
③一時庇護許可者、仮滞在許可者
④出生による経過滞在者、国籍喪失による経過滞在者」

つまり、マイナンバー・カードを持つ、持たないにかかわらず、上記の4類型の方には個人番号が自動的に付与されます。そして、住民登録をして、日本人と同様に、マイナンバー・カードの発行を受けることができます。
ただし、「日本に住所を置く外国人のうち、『外交』の在留資格で在留する外国政府の駐日大使館・領事館に勤務する特命全権大使や特命全権公使や外交官とその家族、『公用』の在留資格で在留する在日米軍の軍人とその家族などは、個人番号の指定の対象外」とされています。念のため。在留期間限定の方ですね。

さて、そのマイナンバー・カードのご利益について、政府はどのように範囲を拡大しようとしているのかをみていきます。

「◆マイナンバーカードの利便性、保有メリットの向上、利活用シーンの拡大
(1)デジタル・ハローワーク・サービスの推進
(2)デジタル・キャンパスの推進等
(3)納税手続のデジタル化の推進
(4)建設キャリアアップシステムとの連携
(5)各種カード、手帳等との一体化等によるデジタル化の推進
(6)公的サービス等での利用拡大の推進
(7)マイナンバーカード読み取り対応スマートフォンの拡大等の公的個人認証の利便性向上」

このような項目について書かれています。
注目したいのは、(4)です。「建設キャリアアップシステム」とは、本年度からはじまったもので、建設業の技能者全員が経験や実績を積んで技能が向上していくステップを体系的に見える化して行こうという仕組みのことです。その「キャリアアップシステム」に個人の登録をする際に、「保有資格や社会保険加入状況」のほかに、「本人情報」を提出する必要があります。「住所、氏名、生年月日、性別、国籍」です。また、本人確認のために顔写真付きの顔写真付き証明書類(例:運転免許証かマイナンバーカード)が求められます。
すなわち、気になる点は、現状でも、キャリアアップシステムに技能者個人を登録する際の「本人情報」として、「運転免許証かマイナンバーカード」のコピーが必要です。
これをもって、マイナンバーカードのご利益と呼んでいるのではないでしょうね、ということです。
政府の資料には、こう書かれています。
「マイナンバーカードでも建設キャリアアップシステムを利用できるよう措置するとともに、登録情報の自動入力等、同システムとマイナポータルとの連携を推進する。」
イメージするのは、建設技能者は、各工事現場の作業に従事する際に、読み取り端末に「建設キャリアアップ・カード」をかざして、毎回の作業を登録することになるのですが、建設省と総務省間でデータが共有できていれば、「建設キャリアアップ・カード」のかわりに、「マイナンバーカード」をかざせば、事足りる、ということを実現しようということと理解しました。

つまり、様々な手続きのカードがあります。「健康保険証」だったり、「運転免許証」だったり、上記の「建設キャリアアップ・カード」だったり、学生の方は「学生証」だったり。それを複数持ち歩く必要はなく、すべて、「マイナンバーカード」で対応可能にする、という方向性です。オールマイティの魔法のカードです。

ちょっと書きすぎたのは、「運転免許証」です。「カード」の裏・表に目で読んでわかる情報が書かれている「運転免許証」ですが、これをどうするのかは課題だと思います。なにしろ、「マイナンバーカード」には、「顔写真」と「個人番号」しか表示されていないのですから、交通違反の際に警察官にカードの提示を求められた場合、マイナンバーカードを差し出して、すぐに警察官が「マイナンバーカード読み取り装置」にかざして、普通免許なのか大型特殊免許なのかなどの、現状では運転免許証に記されている情報を、「マイナンバーカード」から即座に読み取るようになるか、といえば、少し時間がかかるような気がします。

ともかく、方向性としては、省庁間の垣根をなくして、さらに、私立大学など民間の機関も含めて「マイナンバーカード」だけで対応できるように進めば、便利な世の中になるような気がします。