建設キャリアアップシステム;技能者にとってのメリットとは
すべての建設現場の技能労働者に、一人1枚、カードを持たせて日々の作業時に記録を積み重ね、実績経験、スキルと処遇を見えるようにする「建設キャリアアップシステム」の導入が始まっています。
国土交通省のホームページには、この制度が令和2年度から技能実習生にも適用されることが示されています。
国土交通省から、技能者にとってのメリットが示されています。
①技能や経験の簡易で客観的な蓄積
②技能や経験の確認や証明の簡易化
③建退共証紙の確実な添付
(建設業技能者の退職金積み立て制度のことです)
④経験や技能に応じた処遇の実現
たしかに、全員が登録し、また、工事現場に通う都度、読み取り機にカードをタッチすることによって、どの職種の工事に関与したのかが一元管理される仕組みを目指すものですので、ここであげた「メリット」は容易に実現できるものと思われます。特に必要なことは、きっちり登録が進み、雇用する側も積極的にこの制度を活用することだと思います。
技能者1名につきカード発行の手数料は2,500円、10年間有効です。安いようでもありますが、最低賃金の約2時間半に相当します。雇い主が負担する仕組みにはなっていないので、上記のような「メリット」が生じることを背景に、技能者の一人一人の個人負担になるものと思われます。
「このカードを持たなければ働くことができない」と言われれば、費用を負担しても応じざるを得ないのでしょうが、スタートが肝心です。雇用者の側が丁寧に説明し、また、制度がうまく機能するよう努力することが必要と思われます。