士業の次のあり方。業界全体でチェックシートで仕事ができるようになるべきではないか!
昨今の様々な行政庁に対する申請は、誰でもわかりやすいように、マニュアルや見本がたいへんよくできています。 そういう環境下にあって、「士業」としての行政書士の業務に価値があるとすれば、行政庁の窓口の方の「裁量」によって採否が判断されるという背景があったことと無縁ではないように思います。 同じように申請書を埋めて必要な添付資料を用意したつもりでも、担当官の心象が良いものはパスするが、そうでないものは却下されるという幅があるのが官庁手続きの「相場」でした。したがって、申請をうまく通すことにたけているベテラン行政書士というようなような先生の出番になる、ということになります。 ここで考えておかなければならないのは、行政庁の側は、すべての業務を電子化させるという方向に向かって、内規の改定に取り組み、採否の判定をできるだけ透明化することに努めているという流れがあります。これからは、裁量の幅も、急激に減っていくものと思われます。
では、申請する側、行政書士は、そのような状況にうまく対応できているでしょうか。ある先生は、申請の電子化が進んでも、まだまだ裁量の余地は残るはず。そこに、士業としての行政書士の役割・出番がある、と考えておられるように思います。 今は、過渡期なので、そういう側面は否定できません。しかし、絶滅しつつある業務を少しでも遅らせ、既得権益の確保に汲々としていると見えなくもありません。
この種の取り組みは、行政書士個人ではなく、会として、統一見解がないものでしょうか。つまり、「行政手続きには、どこまでいっても裁量の余地がある」という過去の遺産にしがみつくのではなく、行政手続きの電子化に対抗するためには、「申請の側も徹底的なマニュアル化だ!」という具合にならないものか。 たくさんの採用・不採用の事例を全国から集め、行政庁のマニュアルや見本ではわかりにくいところ、間違いやすい箇所、あるいは添付資料がストレートに用意できない場合の代替手段などについて、行政書士会全体の共有財産として、極力、「薄い」マニュアルにならないものかと思う次第です。
私が新人だから感じる点かと思いますが、今は、今後経験を積んでいき知識が増えていけば、なおさら、「わからないことはオレに聞け」ではなく、ことごとく後進の方に伝承する、というふうになっていければと思っております。
すべての行政手続きがチェックシートで片付くことが、市民にとってたいへん価値のあることですから、行政書士全体にとっても理想だと思います。行政庁の手がまわらないところまで、申請書類のマニュアル化を徹底的に極めること、案外、これは、弁護士などにはできない領域かもしれません。