行政書士も「はんこ文化」とともに滅びるのか 2

行政手続きのIT化が進んでいくのは、当然の時流になっています。「はんこ」とともに「印鑑証明」なども「文化遺産」になる日がくるのかもしれません。

ところで、行政書士法で次のように定められている業務は、どうでしょう。「第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。」

この前段の「官公署に提出する書類」がIT化されて、個々の申請者が自分でやれるようになるのだから、後段の「その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成」ということに特化するようになる、というのが一つの考え。

「官公署に提出する書類」がIT化されるに伴って、IT化された、その入力や申請手続きを代行することができるか、というのが二つ目の考え。

クライアントが法人の場合、IT化に伴い、一挙に行政手続きは法人のなかの専門部署や専任者が処理できるようになるので、書類作成実務ではなく、コンサル業務に切り替えるべき、というのが三つ目の考え。

ここまでみてきたところで、想定している行政書士業務の内容によってIT化の性質が異なることが見えてきます。それまで培ってきた信頼関係が深いかどうかで、クライアントをサポートする役割を引き受けることができるか否かも度合いがかわってきます。

一つ、ある会合で話題になったのは、「コンサルタント業務」についてです。

行政書士の業務は、上記の行政書士法に定義されているとおりで、このなかに、コンサルタント業務は明記されておりません。これについて、行政書士法人の場合は、「行政書士業務に関連する一切の業務」を受けることができるので、コンサルタント業務も「行政書士業務に関連する業務」として合法的に受けることができるとされています。

では、個人事業主の場合はどうなのか。厳密にいえば、やはり、コンサルタント業務は行政書士業務に含まれないというのが冷静な見方です。これを聞いたとき、「えっ!」と思いました。「行政手続きがなくなったら。コンサルタント業務があるさ」というものだと疑っておりませんでした。たしかに、これまでの自分の業務経験を活かせれば、コンサルタント業務を行うことができるかもしれませんが、それは「行政書士業務」ではない、と言われればそうかもしれません。

客観的に表現すれば、行政書士からコンサルタントへの「転職」ですが、そういう道を目指すのも一つの方向性だと思います。

仕事ができる人は、行政手続きに限らず、その周辺業務に範囲を広げることができるはずなので、今後もそのような観点で、「官公署に提出する書類の作成」の周辺に目配りをしていきたいと思います。

メモ
テレビ東京のニュースモーニングサテライト2019年03月08日からの「引用」の明示が必要かも?